事件現場清掃人は見た 自殺した「40代男性」の高級マンションになぜ私は住んだのか

  • ブックマーク

相場より3割安い

「事故物件を専門に扱う不動産屋です。孤独死などで遺体が長時間放置された部屋は、間違いなく事故物件となります。それらを買い取って転売したり、次の借り手を探したりするわけです。通常、賃料や売値は相場の3割程度安い金額になります」

 最近では、相場より安く借りることができる事故物件は、意外と人気があるという。

「外国人は特に事故物件でも気にしないと聞きます。たとえばイギリスでは、事故物件でも古くて歴史があるほど、不動産の価値が上がることもあるそうです。『事故物件』を嫌がるのは、潔癖な日本人に特有な感覚かもしれません」

 高江洲氏は、特殊清掃の依頼があると、部屋の所有者に相場の3割程度安い金額で物件を買い取る提案をすることがあるという。

「数十万円かけて特殊清掃と遺品整理を行い、さらに数百万円かけてリフォームをしたとしても、すぐに買い手や借り手が見つかるとは限りません。事故物件を買い取るという提案は、依頼主の心理的な負担を軽減するためでもあるのです」

 事故物件の買い取りは、特殊清掃やリフォーム、物件販売の利益で何とかやり繰りしているという。

「買い取った物件は、投資家に転売することもあれば、私がそのまま事務所として使ったこともあります。事故物件の買い取りの相談は月に2、3件はありますね」

デイリー新潮取材班

2021年8月24日掲載

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。