中田翔、巨人へ電撃移籍のウラ 巨人OBが語る「清原移籍との違い」

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G党の厳しい視線

 中田は大阪桐蔭高校時代、甲子園を沸かせたスターだった。それが意外に伸び悩んだのは、日ハムの“放置主義”の罪も大きいとの声がある。

「半分は冗談だとしても、『日ハムの首脳陣はバッターに対し、練習の順番と相手ピッチャーの分析しか教えない』という指摘を耳にしたことがあります。とにかく、選手を熱心に指導するという雰囲気でないことは間違いないでしょう」(前出の記者)

 ネームバリューこそあるが、それ以外は問題の多い“中古品”──。中田の現状を辛辣に評すれば、こんな感じになるだろうか。しかし、それでも広澤氏は、巨人の中田獲得は「信じられないほどお得な“買い物”です」と指摘する。

「巨人の2軍選手に比べれば、たとえ不調に苦しんでいるとしても、中田くんのほうが戦力になるのは間違いありません。仮にも日ハムの4番を打っていた、推定年俸3億4000万円の選手です。無償トレードですので、巨人は8月からシーズン終了までの年俸を日割り計算で払えばいいだけです。おまけに、このまま不調だったなら、中田くんをどうしようが巨人の勝手です。2軍に落としても、それこそ自由契約にしてもいいのです」

待ち受ける“イバラの道”

 巨人は、ちゃんと“ソロバン”を弾いているというわけだ。だが、そうだとしても、納得のいかないジャイアンツファンは少なくないだろう。広澤氏も、それは否定しない。

「中田くんを待ち受けているのは、まさにイバラの道です。少なからぬジャイアンツファンが、『中田は本当に巨人の一員になれるのか?』と疑いの目を持っています。彼がスタメンの座を獲得したとしても、普通の活躍では巨人ファンの信頼は得られないでしょう。少なくとも入団後1か月、攻守に大活躍をして初めて、フラットな目で見てもらえる。それくらいファンの目は厳しいと思うべきです」

 巨人の選手は、髪の色は言うに及ばず、「練習中にシャツをズボンの外に出すのは駄目」というほど厳しい“規律”を求められることで知られている。

「中田くんが目立つネックレスをしていたことや、その髪の色から考えると、やはり日本ハムというチームの規律は緩かったと言わざるを得ません。彼は32歳です。社会人としては、まだまだ若造でしょう。今でも先輩や上司の注意が必要な年齢だと言えますが、20代だった時はなおさらです。果たして日ハムは、中田くんに社会人としての常識を教育したのでしょうか。私がヤクルト時代に指導を受けた野村克也さん(1935〜2020)は、その点、とても厳しい方でした」(同・広澤氏)

厳しい競争

 監督だった野村氏は、ことあるごとに「プロ野球選手といえども一介の社会人だ。会社員や公務員の常識とプロ野球選手の常識が違うはずがない」と注意していたという。

 ただ、中田の“未来”について訊くと、広澤氏は「中田くんが巨人で復活を果たす可能性も充分にあります」と指摘する。

「丸佳浩選手(32)と菅野智之選手(31)は、中田くんと同い年です。たとえ投手であっても、同い年の選手が活躍し練習に打ち込む姿は、中田くんの刺激になるはずです。それなりの成績を引っさげて巨人にFA移籍した清原くんは、自分に自信があったでしょう。そのため、巨人の『紳士たれ』という体質に違和感を覚えながらプレーしていたと思います。一方の中田くんは、自身の不祥事で日ハムを追い出されました。それを巨人に拾ってもらった恩義は感じているに違いありません。これまでの実績やプライドをかなぐり捨て、巨人の流儀に従って再生したいと考えているはずです」

 とはいえ、ライバルは多い。もし中田のポジションが一塁なら、ゼラス・ウィーラー(34)や中島宏之(39)と競合する。外野なら、松原聖弥(26)や梶谷隆幸(32)を蹴落とす必要がある。

 いくら中田にそれなりの実績があったとしても、楽勝という相手でないことは言うまでもない。

デイリー新潮取材班

2021年8月22日掲載

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