五輪中継で不評だったNHK「サブチャンネル」 画質は悪いし、怨嗟の声は受信料にまで
コロナ禍で開催された「東京2020オリンピック」は、ほとんどの競技が無観客で開催されたため、テレビで楽しむ人が圧倒的に多かった。そして今回、初めてサブチャンネルを知った、という人は少なくないようだ。中にはチャンネルの切り替えに翻弄された人もいたようで……。
***
サブチャンネルはNHKで多用された。競技中の画面の端に以下のテロップが現れる。
《「オリンピック中継」はまもなくサブチャンネルに切り替わります このあとご案内しますのでテレビのリモコンの準備をお願いします》
あれ、どこに置いたっけ?とリモコンを慌てて探し、案内に従い、チャンネルの「+」ボタンを押したつもりが音量ボタンで、家中に爆音が轟いたなんて人も……。民放プロデューサーが言う。
「ようやくサブチャンネルに切り替えても、画質の悪さにガッカリした人も少なくないでしょう。実はサブチャンネルが使えるマルチ編成は、地上波がデジタル化したときから存在していました。ハイビジョン1チャンネル分の信号を分割することで、最大で3つの異なる番組を放送できます。当初はデジタル化のメリットとして宣伝されていたのですが、民放ではほとんど使われてきませんでした。画質が悪くなることに加え、CMの出し方やスポンサーの調整がややこしく、費用対効果に合わなかったからです」
CMもなくスポンサーもいないNHKなら使いやすいということか。
試合開始からサブチャンネル
「それにしたって、今回の五輪中継は酷かった。特に8月7日に放送された、野球の決勝はね。侍ジャパンが悲願の金メダルを懸けた世紀の一戦、対アメリカ戦にサブチャンネルを使うとは思いませんでした。NHKは18時5分から中継をスタート。スタジオには櫻井翔や和田一浩がいて、試合が行われる横浜スタジアムには北島康介や藤川球児が待機。でも、試合は19時からなんですよ。決勝に至るこれまでの試合や展望などを紹介して、18時45分からは『ニュース・気象情報』に。そしていよいよ試合開始の19時を迎えたのですが……」
NHKは「ニュース7」の放送を始めたのだ。
「『ニュース・気象情報』の前にサブチャンネル切り替えの案内はありましたけどね、決勝戦くらい“本線”で流せばいいじゃないですか。五輪のために4Kの大型テレビに買い換えた人もいると思いますが、サブチャンネルの画素数はフルハイビジョンの半分以下ですから、テレビが大型になるほど、画質のアラが目立ちます。外野手の背番号すら見えにくくなります」
19時半にようやく「ニュース7」が終わって、野球・決勝が戻ってくる。
「やっと落ち着いて楽しめると思ったのに、5回裏が終わった20時29分、NHKは《このあと総合テレビではニュースをお伝えします》というテロップを出して、ニュースを入れ込んできました。1―0で日本がリードしているとはいえ、まだまだ勝負の行方は分からないときです。ニュースはわずか5分でしたが、早く試合に戻れとイライラしましたよ。中継に戻ったときは、千賀滉大投手が1球目を投げるところでした」
[1/2ページ]