「孤独のグルメ」「お耳に合いましたら。」「ひねくれ女のボッチ飯」「シェフは名探偵」…テレ東メシ系ドラマをどう見るか？
グルメ系ドラマの金字塔
高杉の料理シーンは実に美しいし、作るメシはシンプルにうまそう。ココナツミルクのシチューは変化球だったし、天玉そばは食べたいなと思った。個人的に好きなのは、スーパーで買い出しするシーン。妙に観察＆干渉してくるパートのおばちゃん（山野海）、従業員役でちょいちょい出てくる原作者の休日課長。頼りなげな高杉が毎日閉店ギリギリに駆け込むのを、ねっとり見守っている。買い物カゴから生活を嗅ぎ取る下世話な部分もあるが、うっすら温かみもある。人に会わなくなったご時世、店員と顔見知りになるだけでも少し癒やされる気がする。
関東では放送終了したが、「シェフは名探偵」も今夏のメシ系ドラマで話題を呼んだ。西島秀俊が演じる洞察力の鋭いシェフが、フランス料理を軸に、客や従業員の悩みやトラブルを解決に導く。カスレ、ピストゥ、ピエ・ド・コション、オッソ・イラティ、ヴァン・ショー……珍しい料理名や素材名がどんどこ登場。フランス料理のうんちくに胸ときめく人にはたまらないグルメ系ドラマだった。毎回放送終了後、料理名を検索する人が多かったようで、一文字打てばトップにその料理が出てきた。すごく安心した。知らなかったのは私だけじゃないんだ……と。ホッ。
つまり、テレ東がこの夏はなったメシ系ドラマは、実にバラエティに富んでいる。知る人ぞ知るグルメ情報を知りたい人にも、ちょっと技ありの料理を作りたい人にも、明日食べるモノを決めかねている人にも。「これだけあれば、ひとつくらいはお口に合いますよね？ よしなに」というテレ東の謙虚な低姿勢。全国津々浦々に届きますよう。
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