コロナ禍、東京五輪開催直後……それでも放送される「24時間テレビ」のスタッフはツラいよ

エンタメ

  • ブックマーク

チャリティーマラソンの紆余曲折

「チャリティーマラソンが始まったのは92年の第15回から。この年は7月25日から8月9日にかけて、バルセロナ五輪が開催されました。『24時間テレビ』は前年の放送までにマンネリ化が進み、募金額も視聴率も落ちてきました。そこで、この年にテコ入れをし、リニューアルしたわけです。この時のプロデューサーこそ、今の小杉副会長です。テーマ曲である『サライ』が完成したのもこの年でした。もしかするとチャリティーマラソンは、五輪に負けない企画として考えたのかもしれません。初代ランナーは間寛平さんで、24時間で200キロ走るという企画でしたが、見物人が殺到したために153キロでリタイア。しかし、翌年の『24時間テレビ』でリベンジを果たしました。以後、赤井英和さんは放送時間内にゴールできず番組が30分延長、研ナオコさんはすっぴんで走る姿が話題になるなどして、チャリティーマラソンが定着していきました。業界内でも毎年、誰が走るか予想していましたが、今年は番組自体、話題にもなりませんね」

 近年はチャリティーマラソンにも紆余曲折があった。

「17年のブルゾンちえみから、ランナーは当日発表という演出が加わりました。しかし、これが視聴者には視聴率稼ぎの“引っ張り”とマイナスの印象を与えてしまい、反発を招くことに。18年はみやぞんが初めてトライアスロン形式でチャレンジしましたが、あまり評判が良くなかったのか、19年は近藤春菜、ガンバレルーヤのよしこ、水卜麻美アナ、いとうあさこによる駅伝スタイルに。そして昨年の募金ランへとつながります」

 ましてや今年は東京五輪で、アスリートのフルマラソンを見たばかりである。

「ですから、荒川さん以外にもオリンピアンを巻き込んでいきたいと考えていると思います」

 そして緊急事態宣言下でもある。

「今年もコロナ禍で、いかに感染を防ぎつつ放送するかが最大の課題でしょう。昨年の夏よりも新型コロナの感染力は増していますからね。スタッフ全員のワクチン接種はもちろんですが、大人数なのでどこまで感染予防が徹底できるかは正直言って未知数です。スタッフの中には“自分が感染したら大迷惑がかかる”と怯えている人もいて、苦しい自粛生活を続けつつ、放送日を迎えることになりそうです」

 そんな苦労までして、放送を続ける必要があるのだろうか。

「日本のテレビ史上、最も歴史があり、最大級のチャリティー番組が『24時間テレビ』であり、日テレの誇りと言っていいでしょう。日テレの杉山美邦社長は就任後の定例会見で、『寄付金を待っている方が大勢いる。お届けする意義がある。趣旨から考えて、日テレとしての使命ではないかと強く思っている』と語っていました。放送中止の選択肢はありません」

デイリー新潮取材班

2021年8月18日掲載

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。