「雅子さま」が戦没者追悼式で見せられた“皇后らしさ”と一瞬のハプニング
身体ごと向いてくださいました
組みひもをあしらったボタンのついたグレーのスーツと同じ色の帽子をまとい、おおぶりのパールのネックレスとイヤリングをつけた雅子さまは、戦後76回目の「終戦の日」を迎えた8月15日、天皇陛下とともに日本武道館(東京・千代田区)で行われた全国戦没者追悼式に臨まれた。陛下と肩を並べて歩調を合わせて歩く新たな皇后スタイルは3回目のご出席ですっかり定着。そればかりか、この日ちょっとしたハプニングにも落ち着いて対応され、日に日に皇后らしさが増しているようだ。
終戦の日と言えば猛暑のイメージがあるが、今年は違った。前日には九州や中国地方で線状降水帯が発生するなど全国的に傘マークが並び、珍しく肌寒さを感じる終戦の日となった。両陛下がお出ましになったころの都内では、一瞬小降りになったものの、傘は手離せない空模様だった。
「雨が降っていても陛下は車の窓を全開にして、右手をさっとあげてくださったんです。雅子さまは陛下のとなりで沿道にいる私たちのほうを身体ごと向いてくださいました。陛下と重ならない絶妙な位置に座られていたから、お顔がよく見えました」(武道館近くで両陛下の車列を見かけた人)
新型コロナウイルスの感染拡大で、都内は緊急事態宣言下。国歌斉唱は演奏のみとなるなど感染防止対策が徹底され、参列者もこれまでで最も少ない約200人だった。
正午に戦没者に黙とうがささげられ、続いて天皇陛下が「おことば」を述べられて、戦没者を悼むとともに昨年に続きコロナ禍に言及された。
《私たち皆がなお一層心をひとつにし、力を合わせてこの困難を乗り越え、今後とも、人々の幸せと平和を希求し続けていくことを心から願います》
一瞬ふらつかれ
皇室担当記者によると、
「オリンピック開催やコロナ禍に対する危機感の共有に関してさまざまな意見、考え方などが国民の間にあっても国がひとつになってほしい…と思われて、陛下は“心をひとつにして”という文言を使われたのではないでしょうか。おことばの間、皇后さまがじっと前を見つめられ、堂々とされていたのが印象的でした。練りに練ったおことばは皇后さまもご一緒に考えられたのでしょう。その後、衆議院議長、参議院議長、最高裁判所所長、遺族代表が追悼の辞を述べましたが、皇后さまはずっとお話しされる方のほうに身体を向けてお聞きになっていらした」
ハプニングが起きたのは、その後に両陛下が退席されるときだった。
「両陛下が立ち上がって標柱に向かって一礼されたときです。皇后さまが一瞬ふらつかれ、お座りになっていた椅子の背もたれに手をつかれたんです。皇后さまはいまも療養中で、外出を伴う行事に合わせて体調を整えてこられましたが、このコロナ禍で外出自体、制限がある。ご体調を整えにくいのかもしれません。しかし、すぐに姿勢を整えられて、なにごともなかったようにされたのは見事でした」(同)
両陛下は皇太子同妃時代から愛子さまとともに、全国戦没者追悼式の日は身を清めて時報に合わせて黙とうされてきたのだという。
「全国戦没者追悼式は皇室としての最大の祈りの行事と言っていいと思います。皇后さまはいまなおご療養中ですが、“倒れても行きます”というお覚悟で臨まれています。コロナ禍でリモートでの公務も行っておられますが、戦争で犠牲になった方々への思いは別格で、直に足を運んで祈りをささげるのは当然だとお考えなのです」(宮内庁関係者)
雅子さまの並々ならぬご覚悟が、日に日に皇后らしさとなってにじみ出てきているのだろう。