大谷翔平、ダルビッシュ有が負けた…「高校最後の夏」スター選手に黒星をつけた男たち

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“松坂2世”からサイクル安打

 最後に紹介するのは、“松坂2世”といわれた横浜高時代の涌井秀章を倒した男だ。涌井からサイクル安打を記録した駒大苫小牧の林裕也である。

 04年、初戦となった2回戦の佐世保実を7対3で下し、悲願の甲子園初勝利を挙げた駒大苫小牧は、3回戦でも日大三に7対6と打ち勝ち、ベスト8に駒を進めた。

 そして、準々決勝の横浜戦、2回に涌井からバックスクリーン右に特大弾を放ち、貴重な先制点をもたらしたのが、7番を打っていた2年生の林だった。

 林は続く3回にタイムリー二塁打、5回にはタイムリー三塁打、7回にもタイムリーを放ち、大会史上5人目のサイクル安打を達成した。涌井も「何を投げても、コースを突いても跳ね返された」と林の打撃センスに脱帽するしかなかった。

 林は、5試合で10安打8打点、打率.556と打ちまくり、北海道勢初の全国制覇に貢献する。主将になった翌年も、再び打率.556を記録して、エースの田中将大(楽天)とともに夏の甲子園連覇を達成した。その後、駒沢大を経て、東芝で主将を務めるなど、31歳まで現役を続け、19年に駒沢大のコーチに就任している。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2020」上・下巻(野球文明叢書)

デイリー新潮取材班編集

2021年8月16日掲載

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