レスリング金の「乙黒拓斗」 この1年で見事に修正した悪癖とは
決して格好のいいフィニッシュではなかった。東京五輪閉会式の前日の8月7日夜、レスリングの男子フリースタイル65キロ級決勝は乙黒拓斗(22=自衛隊)がマットに上がった。決勝の相手はハジ・アリエフ(アゼルバイジャン)。2―2の接戦のままで残り30秒。そのままなら、後で点を取った方が勝つルールなので先制していた乙黒拓斗は敗北する。「もう駄目か」と思われた瞬間だった。アリエフのタックルを素早くかわして右足を取った。もつれ合ったがアリエフが崩れ、乙黒拓斗は背中から倒れず堪えた。...