元“反社”から500万円騙し取って1億円超要求される東証1部“元役員” 仁義なき法廷闘争の行方は
突然の倒産
広域暴力団「稲川会」の2次団体で幹部を務めた人物が、東証1部上場企業の役員らによる詐欺的被害に遭ったと訴え、「仁義なき戦い」を繰り広げている。反社会的勢力のレッテルを一旦貼られると肩身の狭い立場に置かれるため、逆に「堅気」に付け込まれて泣きを見るケースもあるのだ。
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元幹部が足を洗ったのは13年前。その後、神戸で不動産会社を興し、妻を代表に据え、自身はオーナーの立場にある。2011年ごろ、彼の会社に大証ヘラクレス上場の「クインランド」元役員のKという男が出入りしはじめたことから、雲行きが怪しくなった。
K氏は当時、中国向けに日本製品を売るECサイトに投資したり、地域の人気店やイベントの情報を提供するポータルサイトを手掛けていた。将来有望なビジネス、と出資を持ちかけてきたという。元幹部曰く、
「結局、14年までに年利15%で計2000万円近くを貸し付けた。しかし、ある日突然、Kの会社が倒産し、弁護士から債務整理の通知が送られてきた」
譲渡契約書
債権回収を一刻も早く図らねばならない元幹部に、
「Kが“金目のものは、もう残っていないので、これで勘弁してください”と、持ち込んできたのが、“サンバイオ”という会社の株式でした」
脳神経細胞の再生治療薬の開発を手掛けるバイオベンチャーであるサンバイオの株は、名義上、東証1部上場の保険代理店「アドバンスクリエイト」で常勤監査役を務めるA氏のものだった。
「Kへの貸付500万円分の代物弁済として、米国サンバイオ株を受け取ることにし、AからKへ、さらにKから私への譲渡契約書を結んだのです」
にもかかわらず、株が引き渡されることはなかった。元幹部は昨年10月、K、A両氏を相手取り、神戸地裁に1億3000万円の損害賠償を求める訴訟を起こしている。対するK、A両氏は、反社からの不当要求をアピールする戦略だ。
堅気が“元反社”を騙したのか――。この法廷闘争は、更生を誓った世間一般の反社からも注目されている。
「週刊新潮」2021年8月12・19日号「MONEY」欄の有料版では、広域暴力団の元幹部が上場企業元役員を訴えるまでの経緯を詳報する。