阪神は優勝へ突き進めるか? 巨人猛追で“不安要素”も続出、後半戦のキーマンは

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優勝経験のある主力選手がいない

 野手陣で気になるのは外国人とルーキーへの依存度の高さだ。マルテ、サンズの両外国人がポイントゲッターとなり、ルーキーの佐藤輝明と中野拓夢の活躍も見事という他ないが、十分な経験のある選手ではないため、揃って調子を落とすことも十分に考えられる。

 リードオフマンの近本光司は安定しているだけに、キーマンとなりそうなのはやはり主砲の大山悠輔だ。前半戦は両外国人と佐藤に4番を譲る試合も多かったが、やはり、チームの核となる打者は大山だ。中断期間にしっかりと調整して本来のバッティングを取り戻すことが期待される。

 チーム全体として気になるのは、やはり優勝経験のある主力選手がいないという点である。2005年の優勝を知る最後のメンバーだった藤川球児は昨年限りで引退。投手ではチェン、中田賢一、加治屋蓮、二保旭などは他球団で優勝を経験しているが、現在一軍の主力とは言えない状況である。

 一方、最大のライバルである巨人はリーグ2連覇中であり、主力の坂本勇人、丸佳浩などは、セ・リーグの中でもトップクラスの優勝経験を誇っている。首脳陣を含めても経験という意味では、かなりの差があることは確かで、後半戦の勝負所でその差が影響してくるだろう。

 ただ、優勝する時のチームというのはそんな経験の差を跳ね返すような勢いがあるケースが大半であり、7月12日のDeNA戦で見せた9回の大逆転劇ではそんな勢いが感じられた。また、ここ数年のドラフト戦略や積極的な補強を見ていても、過去の阪神とは違う雰囲気がある。今回挙げたキーマンが後半戦で本来の力を発揮することができれば、“歓喜の瞬間”が近づいてくるはずだ。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年8月12日掲載

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