事件現場清掃人は見た 心が折れそうになった私を救ってくれた神主の言葉

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 孤独死などで遺体が長時間放置された部屋は、死者の痕跡が残り悲惨な状態になる。それを原状回復させるのが、一般に特殊清掃人と呼ばれる人たちだ。長年、この仕事に従事し、昨年『事件現場清掃人 死と生を看取る者』(飛鳥新社)を上梓した高江洲(たかえす)敦氏に、心が折れそうになった現場について聞いた。

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 高江洲氏がこれまで手掛けた特殊清掃の仕事は3000件を超える。孤独死、自殺、事故死、殺人など、死因はそれぞれ違うが、遺族や大家の悲しみや怒りを聞かされると、いつも胸が張り裂けそうになるという。

「いくら仕事と割り切っているとはいえ、凄惨な現場を目の当たりにすると、なぜこんなふうに死ななければならなかったのだろうと思い、涙が出てくることがあります」

 と語るのは、高江洲氏。

神主の訪問

 肉体的な疲れは休息を取れば問題ない。しかし精神的に参っている時は、たまったストレスをうまく処理しないと、仕事に支障をきたすという。

「こんな時、信仰を持っている人は強いのかもしれませんが、私はこれまで宗教とは無縁の生活を送ってきました。ですので、なかなか大変でしたね」

 ところがある日、一人の神主が彼の会社を訪ねてきた。

「テレビで放送された私の仕事の様子を見て関心を持ったそうです。私の会社のホームページも読んだと言っていました。その神主は、『困ったことがあったら、いつでもいらしてください。お力になりますから』と言い残し、帰りました。最初は突然の訪問に面食らいましたが、よくよく考えてみれば、神主さんがわざわざ訪ねてくれるなんてありがたいことですね」

 その後、高江洲氏は、精神的に最も辛かった現場を経験する。

「どの現場も凄惨なものですが、特に辛いのは遺族から亡くなった方を弔う声が全くない時です。死んで良かったというような感情を抱いている場合は、一番ストレスがたまります」

 その現場は、地方都市の1DKのアパートだった。

「40代の男性が孤独死し、1カ月経って発見されたそうです。ベッド代わりにしていた押し入れで亡くなっていました。病死のようでした」

 亡くなった男性は、子どもの頃から手が付けられないワルだったという。

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