新人選手の貢献度を球団別に調査 ドラ1「早川隆久」の活躍で1位は楽天【パ・リーグ編】
前回、セ・リーグの新人選手がどれだけチームの力になっているのかを100点満点で評価してみた。今回はパ・リーグ編をお届けしたい。なお、成績は前半戦(7月14日)終了時点のものだ。
80点で1位となったのが東北楽天ゴールデンイーグルスだ。高評価の理由は、パ・リーグ新人王候補ナンバー1の大卒ドラ1左腕、早川隆久の働きによるものである。開幕ローテーション入りを果たすと、ここまで13試合に登板、79回2/3を投げ、7勝3敗、防御率3.39、75奪三振はお見事のひとこと。
この早川に後れをとっていたが、大卒ドラ4の内間拓馬と大卒ドラ2の高田孝一の両右腕も1軍昇格を果たしている。内間は4月末に1軍入り。中継ぎで11試合に登板し、勝ち負けなしの防御率5.91という数字を残した。7月上旬に登録を抹消されてしまったので、2軍で結果を残して再び這い上がりたい。
かたや6月下旬に待望の1軍公式戦初登板を果たした高田はここまで3試合に登板し、こちらも勝ち負けつかずの防御率1.35。敗戦処理での登板が続いたが、好投を続けて勝ちパターンで使われたいところだろう。
2位は75点の北海道日本ハムファイターズだ。大卒ドラ1右腕の伊藤大海が期待通り、開幕ローテーション入り。ここまで13試合に登板し、81回2/3を投げて7勝4敗、防御率2.42、87奪三振をマークして、東北楽天の早川と激しい新人王争いを繰り広げている。特筆すべきはデビュー戦の初回から23イニング連続奪三振のプロ野球新人記録を打ち立てた点だろう。
ドラ2の大卒外野手・五十幡亮汰には、陸上の中学選手権で、あのサニブラウンに勝った過去がある。その俊足を武器に5月上旬に1軍戦に初出場。計19試合で打率2割8分6厘、1本塁打、4打点をマーク。西川遥輝に次ぐチーム2位の8盗塁を記録するなど、その快足で存在感を示していた。ところが6月8日の交流戦、阪神タイガースとの試合で負傷してしまい、やむなく登録抹消に。7月10日のイースタン・リーグの対読売ジャイアンツ戦で実戦復帰を果たしたので、試合勘を取り戻し1日も早く1軍に戻りたいところだ。
ドラ6の大卒外野手・今川優馬は右のスラッガーらしく、2軍戦では7本塁打を放っている。ただ、4月中旬から末まで帯同した1軍の試合では6試合に出場して11打数ノーヒット4三振と、結果を出せなかった。2軍では主に3番を任されているので、今季はこのまま実戦経験を積み重ねていきたい。
ファイターズは五十幡がケガで戦線離脱をしなければ、イーグルスの上を行っていた可能性が高かったのである。
50点で3位となった埼玉西武ライオンズは、大卒ドラ4外野手の若林楽人の離脱が痛かった。開幕1軍入りを果たすと44試合に出場して打率2割7分8厘、2本塁打、10打点、20盗塁をマーク。トップバッターに定着していたが、5月30日の交流戦、阪神との試合中に左ヒザの靭帯を損傷してしまい、全治9カ月の診断がくだされた。離脱前は12球団トップの盗塁数を誇り、リードオフマンの役割を存分こなしていただけに無念だろう。
大卒ドラ6の内野手・大河は、1・2軍の往復が続いている。6月末の3度目の1軍登録後は左腕が先発のときはスタメンに名を連ねている。ここまでの成績は20試合に出場して打率2割5厘、2本塁打、7打点。先発出場した際の固め打ちが欲しいところだ。
体重112キロとその巨体が注目された大卒ドラ1内野手の渡部健人は、一時期、1軍に帯同していた。だが6試合で16打数1安打、1本塁打、2打点、7三振と結果を出せずに2軍落ち。それでもイースタンでは現在13本塁打とトップを走っている。
投手陣では育成5位で入団した水上由伸が5月13日に支配下登録され、6月11日の交流戦・中日ドラゴンズ戦で1軍初登板を果たした。以後、主にリリーフで起用され、その強気の投球を武器にここまで10試合、9回2/3を投げて無失点投球を続けている。この好投がどこまで続くのかに注目だ。
社会人出の2位・佐々木健も6月中旬に1軍昇格。以後、主に中継ぎで起用され、ここまで5試合に登板、8回2/3を投げて勝ち負けなしの防御率8.31という成績だ。だが、プロ2度目の先発となった7月2日のオリックス・バファローズ戦ではわずか3球投げただけで危険球退場してしまった。次回、先発があれば捲土重来を期待したい。
4位以下は
4位は40点で千葉ロッテマリーンズとなった。目立つのが大卒ドラ1左腕・鈴木昭汰の奮闘だ。開幕3戦目に初先発を任されると5回を投げて被安打1、2失点と上々のデビュー。以後も好投を続けるも、打線の援護に恵まれず、白星に見放されている。そのため成績は14試合に登板し、56回2/3を投げて1勝4敗1ホールド、防御率4.13、53奪三振。だが、接戦試合での救援登板もこなすなど、チームの左腕不足を補っている。
大卒ドラ4右腕の河村説人は開幕1軍入りし、初戦でいきなり救援登板を果たした。以後もリリーフで起用されていたが、2試合連続で競った展開の救援に失敗、5月下旬に2軍落ちしてしまった。それでもファームで好投を続け7月7日の福岡ソフトバンクホークス戦で1軍初先発を果たした。5回を投げて被安打2、失点・自責点1という見事な投球でプロ初勝利を飾っている。ここから巻き返して後半戦はチームの力になりたいところだ。
35点で5位のオリックスは、ドラフト上位の3人と5位が高校生だったように、育成路線をとる。その中でも注目のドラ1右腕・山下舜平大は2軍で登板を重ね、10試合で35回2/3を投げて1勝6敗、防御率5.80という成績をマーク。設けていた球数制限も徐々に増やしてさらなる実戦経験を積んでいる状況だ。
大卒・社会人出の即戦力組は、ドラ4右腕のアンダーハンド・中川颯が開幕1軍を勝ち取るも、出番のないまま2軍落ち。7月14日のファイターズ戦でようやく1軍初登板を果たした。1回を投げて被安打2、失点・自責点0というデビューを飾った。後半戦はチームの戦力になりたいところだ。
28歳のドラ6右腕・阿部翔太は4月30日の福岡ソフトバンクホークス戦で1軍デビューも失点を重ねてわずか4試合で2軍降格となった。その間の成績は3回2/3を投げて被安打4、防御率7.36という数字が残っている。ただ、その後の2軍戦で1試合も登板がないのが気がかりだ。
野手では育成5位の佐野如一がオープン戦で結果を残し、開幕直前に支配下登録された。さらに開幕1軍入りし、9試合に出場(うちスタメン2試合)したものの、8打数ノーヒット5三振と結果を出せなかった。ただ、チームは1軍も若手が多いので割って入るチャンスはある。後半戦の戦力になるべく、ファームで実力をさらに磨いていきたい。
最下位はホークス
最下位はホークスとなった。支配下のルーキー5人全員が、育成を含めても13人中9人が高卒と、完全に育成重視であることがその理由である。将来の期待を込めて現段階の点数は30点にしてみた。注目はドラ1外野手の井上朋也。ここまでウエスタン・リーグで23試合に出場。打率2割8分3厘、1本塁打、5打点と徐々に存在感を発揮し始めている。ただでさえホークスは戦力が厚いので、焦らずじっくりと育ってほしい。
即戦力補強が成功した東北楽天と北海道日本ハムが高得点となった。後半戦、まだ2軍で実戦経験を積んでいる選手たちの巻き返しに期待したい。