事件現場清掃人は見た 直ぐそこで彼氏が自殺していたことに気付かなかった女性の後悔

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 孤独死などで遺体が長時間放置された部屋は、死者の痕跡が残り悲惨な状態になる。それを原状回復させるのが、一般に特殊清掃人と呼ばれる人たちだ。長年、この仕事に従事し、昨年『事件現場清掃人 死と生を看取る者』(飛鳥新社)を出版した高江洲(たかえす)敦氏に、自殺した20代男性の交際相手の後悔について聞いた。

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 今回、ご紹介するのは同居人の自殺に気付かなかった女性の話である。

「不動産会社からの依頼でした。2Kのマンションのユニットバスで20代後半の男性が練炭自殺したそうです。死後2日経ってから発見されたといいます」

 と語るのは、高江洲氏。

「現場へ向かい、玄関のドアを開けると、死臭は一切ありませんでした。部屋はきれいに整理され、掃除が行き届いていました。ユニットバスも、ほとんど汚れはありません。練炭が燃えた後の焦げた臭いが残っているだけでした」

『もう駄目だ』

 実は、このマンションの借主は自殺した男性ではなく、20代前半の女性だったという。

「部屋の様子を見て、男の一人暮らしではないとすぐにわかりました。男性は、借主の女性と同棲していたのです」

 高江洲氏は、女性から色々と話を聞いた。

「彼女は、介護の仕事をしていました。男性は大手の自動車用品店に勤めていましたが、亡くなる1年ほど前から精神を病んで、会社を辞めたそうです。そのため、彼は女性に養ってもらっていたのです」

 男性は、女性に養ってもらうことを気にしていたという。

「自分の方が年上だったせいもあるのでしょうか。彼は、ラインで何度も彼女に『もう駄目だ』『死にたい』と送っていたそうです。彼女はその度ごとに、彼を励ましていたといいます」

 男性が自殺をしたのは、女性が泊まりの勤務の日だった。

「その日の夕方、女性は落ち込んでいる彼の事が気になって、休憩時間にマンションに1度戻ったそうです。駐車場に彼の車があったので、てっきり部屋に居ると思ったそうです。ところが、見当たらず、『コンビニでも行ったのかな』と思いながら、ユニットバスのドアの敷居に腰かけてしばらく彼が帰るのを待っていたといいます。結局、30分経っても彼が帰って来ないので、また職場に戻ったそうです」

 翌日、女性は帰宅した。

「彼女はお風呂に入ろうとしてユニットバスのドアを開けると、彼を発見したそうです」

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