夏の甲子園あした開幕 見ないと損する注目の好カード 5試合プラス1
8月10日、待ちに待った夏の甲子園が2年ぶりに開幕する。先日行われた第103回全国高校野球選手権大会の初戦の組み合わせ抽選から、初戦注目の5試合をご紹介しよう。
まずは5日目の第1試合である。大阪桐蔭(大阪)対東海大菅生(西東京)という優勝候補同士の一戦が実現した。夏の甲子園5度の優勝を誇る西の横綱・大阪桐蔭は最速150キロ左腕・松浦慶斗と最速140キロ右腕・竹中勇登を中心に好投手を多数擁する。打っても驚異的な勝負強さを持つ3番・池田陵真、4番・花田旭を中心に打線の破壊力は出場校中間違いなくトップクラスだ。
対する東海大菅生は今春の選抜ベスト8。エース・本田峻也を筆頭にサウスポー3枚にセンターと投手を兼任する千田光一郎などの強力投手陣が自慢だ。打線も長打力のある千田、俊足の福原聖矢を中心に上位下位切れ目のない打線が特徴で、投打ともレベルが非常に高い。
実力的にはやや大阪桐蔭が上回っている感じだが、今年の春の選抜では智弁学園の前に初戦敗退を喫しているので、油断は禁物だ。2季連続初戦敗退もあり得る。ただ、今年の大阪桐蔭は大阪大会の後半3試合で、いずれも苦しい接戦を制して勝ち上がってきた。勝負強さや粘り強さがあるのが特徴でもある。気がかりは最速154キロ右腕・関戸康介が不調のため夏の大阪大会では1試合も登板していない点だろう。もし復調すれば、強力投手陣にさらに心強いピースが加わることになる。
この両校は15年春の選抜初戦でも激突しており、大阪桐蔭が東海大菅生のエース右腕・勝俣翔貴(オリックス)を攻略、8-0で快勝している。東海大菅生としてはなんとしてもそのときのリベンジを果たしたいところだろう。いずれにせよ両校の地方大会の戦いぶりをみるかぎり、好勝負は必至である。
4日目第2試合の専大松戸(千葉)対明豊(大分)の一戦も1回戦屈指の好カードとなった。今春の選抜出場校同士の戦いだ。選抜での明豊は、それほど注目された選手はいなかった。ダークホース的な感じで勝ち上がっていき、強豪校を倒して準Vに輝いている。その原動力となったのが京本眞、財原光優、太田虎次朗の投手3本柱。そこに1年生右腕の森山塁も台頭し、分厚い投手陣が完成した。打線も1~9番まで隙がなく、投打ともに完成度が高いチームだ。夏の大分大会をしっかりと勝ち上がってきた点で、間違いなく優勝候補の一角である。
対する専大松戸は今春の選抜では中京大中京(愛知)の前に0-2の惜敗で初戦敗退を喫した。しかしそこからチームを立て直し、春の関東大会ではきっちり優勝している。プロ注目の右サイドハンドのエース・深沢鳳介は千葉大会5試合で5失点と安定し、控え右腕の岡本陸も試合を作れる。どちらかといえば堅守を武器に勝ち上がった印象だが、打線にも粘り強さが加わった感があるのはプラス材料だろう。
試合は打線の破壊力でやや明豊が有利とみる。専大松戸としては深沢・岡本の両投手が相手強力打線にどう対処するかが、勝敗のカギとなろう。丁寧なピッチングで明豊打線を封じ、先制点を奪って主導権を取りたいところだ。
3日目の第2試合では名将対決が実現した。甲子園春夏通算51勝の明徳義塾(高知)・馬淵史郎監督と、解説者や監督として甲子園を深く知る県岐阜商(岐阜)・鍛治舎巧監督の激突である。明徳義塾は高校生屈指の右腕といわれた高知の森木を倒して勢いに乗っている。最速143キロのエース左腕・代木大和も今大会注目の好投手で、守備面では出場校中間違いなくトップクラス。しっかり守って代木をバックアップしつつ、相手のミスに乗じて得点を重ねていく戦い方が理想だ。
対する県岐阜商もプロ注目左腕の野崎慎裕を中心に5投手を抱え、充実した投手陣が自慢だ。この強力投手陣をリードするプロ注目の捕手・高木翔斗は夏の岐阜大会で打率3割9分1厘、3本塁打、8打点とその打棒でもチームを引っ張る。
両校はともに今年の選抜に出場しているが、揃って0-1というスコアで初戦敗退を喫しているだけに、甲子園の借りは甲子園で返したいところ。ともに守備が堅いだけに1点を争う好勝負が予想される。となれば、両ベテラン監督の采配が勝敗のカギを握る。どちらもしたたかに、取るべきときに点を取る攻めをみせる。先に動くか、じっと待つか。勝負どころを的確に見抜いたほうに軍配があがるのではないだろうか。
3日目は第3試合も注目の好カードである。神戸国際大付(兵庫)対北海(南北海道)だ。実は今春の選抜の開幕カードの再戦で、このときは3-2で神戸国際大付が劇的なサヨナラ勝ちを収めている。だが、北海はプロ注目のエース左腕・木村大成が春から急成長。球速も150キロ台を叩き出すなど着実にレベルアップ、攻撃力にも自信を持っている。
神戸国際大付は投打二刀流で注目される阪上翔也に注目が集まる。春の選抜以降、公式戦での登板はなく練習試合で自己最速の147キロを計測しただけだった。だが今夏の兵庫大会では4試合に登板し、18回1/3を投げ、被安打12、奪三振16、失点6と復調をみせた。打っても、打率4割超で打線を引っ張る存在である。
実は北海は今年の春以前にも17年夏の初戦で神戸国際大付と初戦で対戦している。出場3大会連続で同じ相手と初戦で対戦することになるワケだ。この17年夏も4-5の逆転負け。2試合とも先制しながら終盤に逆転を許し、1点差で敗れている。特に今春の選抜では明らかにエース・木村がスタミナ切れしたところを狙われただけに後半粘れるかがポイントだ。南北海道大会では今年初登板の吉野龍生が好救援し、主砲・宮下朝陽も打率5割2分1厘と絶好調なだけにリベンジのチャンスは大とみる。
神戸国際大付は今夏の兵庫大会でチーム7本塁打とバージョンアップした自慢の強力打線で一気の先制を狙いたいところ。先制したら一気に神戸国際大付に試合の流れがいってしまうのではないだろうか。
最後は2日目の第2試合、広島新庄(広島)対横浜(神奈川)の一戦だ。広島新庄は本格派右腕の花田侑樹、経験豊富な左腕・秋山恭平、技巧派左腕の西井拓大の3投手を軸に昨秋の新チーム結成時から県内で無敗を誇る。今夏の広島大会では全6試合で失策はわずか1つ。鉄壁の守備に加えて23盗塁と機動力にも自信を持ち、計52得点と攻撃力をみせつけた。
対する横浜は試合巧者だ。4番で主砲の立花祥希を中心に全員が巧みな打撃をみせ、得点力が高い。気がかりな点はプロ注目の二刀流エース・金井慎之介だ。今夏の神奈川大会ではわずか2試合の登板に終わってしまった。1回1/3を投げ、被安打0、2奪三振、失点0という数字が残っているのみなのだ。打撃では3番・レフトできっちり結果を出しているのだが、投げるほうは果たしてどこまで復調しているのか。投手・金井の登板がなければ、総合力で広島新庄にやや分があるとみる。
オマケとして、あと1試合を挙げるなら大会5日目の第3試合の西日本短大付(福岡)対二松学舎大付(東東京)だろうか。二松学舎大付はプロ注目のエース左腕・秋山正雲が絶好調だ。140キロ大超の直球やスライダーにキレがある。西日本短大付はプロ注目の大型ショート・林直樹を中心とする打線が活発だ。福岡大会10湯決勝で6点差を跳ね返した粘り強さで対抗したいところだ。
まずは、以上の試合に注目してほしい。