宮古島で違法な屎尿処理方法 市長は処理施設建設を中止、防衛省が絶句した理由は

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 青い海に、白い砂浜。絵に描いたような“南国”の風情漂う沖縄県宮古島市にこのほど降ってわいたのは“屎尿(しにょう)”の問題である。しかも、これには日本の離島防衛も深く関わっているというから、タダゴトでない。

 政治部記者によれば、

「コトの始まりは今年1月の市長選。この選挙で座喜味一幸氏(71)が現職の下地敏彦氏(75)を破り、初当選を果たした。座喜味氏は元自民党県議で市長選でも“保守系”を標榜していましたが、社民、社会大衆、共産、立憲民主が推薦する革新系だった」

 節操なく映る変節にもかかわらず座喜味氏が当選したのには、あるワケが。

「宮古島には離島防衛のため、2019年に陸上自衛隊の部隊が配置され、その用地を巡って、当時の市長だった下地氏に収賄の疑惑が囁かれたんです。実際、下地氏は5月に収賄容疑で逮捕されました」(同)

 つまり前任者の汚職を追い風に誕生した座喜味市長。そんな彼が手を付けたのが“屎尿処理”の問題だった。

 ある市議いわく、

「宮古島には屎尿処理施設がなく、屎尿は20倍に希釈して下水道に流すという、法律では認められていない方法でやむなく処理されてきたんです。島にとって処理施設整備は喫緊の課題で、昨年、防衛省の補助金も使い、約36億円で処理施設を建設することが決まった」

 補助金の額は24億円近く。今年度にはそのうち約3億円の支給が決定しており、市の予算にも計上されたハズだった。ところが、

「3月、市長は自ら補助金を含む予算を上程しながら、わずか2週間後に“処理施設は中止”と」(同)

 突然のちゃぶ台返しに、慌てたのは防衛省。

「市に“処理施設以外の補助金の使い道はないか”と打診までしたようですが、市はそれも拒否したとか。市長の答弁も曖昧で、議会は今後、特別委員会を開き、改めて処理施設整備を求める予定です」(同)

 市に見解を尋ねると、

「屎尿処理については、現状の処理方法を増強すれば対応可能だと考えています。防衛省の補助金も受け取るつもりで調整していますし、市長と防衛局長の関係も良好にみえますよ」

 一方、別の市議は、

「市や市長の言い分では現在の違法状態を是正することにはなりません。今に“陸自の基地もお断り”なんて言い出すのではと保守系議員は警戒している」(同)

 屎尿で揺らぐ日本の防衛。

週刊新潮 2021年8月5日号掲載

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