ワクチンは「南米ラムダ株」にも効く? デマも多いワクチンへの疑問を専門家が徹底解説
重症化予防は維持される
Q.ピルを飲んでいる女性は血栓ができやすい?
寺嶋教授が答える。
「たしかにピルは、副作用として血栓ができやすくなります。そして、アストラゼネカのワクチンの副反応として、まれに血栓ができますが、ピルによる血栓と仕組みが同じで関連性があるのかどうかなど、なんとも言えません。ただ、国内でアストラゼネカ製はまだ打たれておらず、打つ場合も60歳以上に限定されるといわれているので、問題ないと思います」
Q.うつ病になりやすくなる?
「ワクチンの成分に、うつ病につながるものは入っておらず、ワクチンが原因でうつ病になったとの報告もありません」
と、寺嶋教授。松井准教授は、ワクチン接種後にうつ病になった人もいるかもしれないが、
「ワクチンが原因ではないのでは。ワクチンの副反応を恐れる不安が引き金になった可能性はなきにしもあらずですが」
との回答。やはり不安の解消が大切である。
Q.副反応の高熱に安全な市販解熱剤はどれ?
現在、副反応に備えて、子どもや妊娠中の女性も安心して飲めるアセトアミノフェンを含む解熱鎮痛剤を買う人が増え、在庫が不足気味だというが、
「いずれの解熱剤でも問題ありません。強いて言うなら、アセトアミノフェンのほうが胃腸にやさしく、ロキソニンは副作用として胃腸が悪くなることがあります。その意味ではアセトアミノフェンのほうがいいかもしれませんが、ロキソニンがいけないというデータもありません」(寺嶋教授)
Q.10代の死亡者はゼロでも子どもには打たせるべきなのか、それとも?
「米国で、12~17歳の青少年の新型コロナ関連の入院を調査した結果が公開されており、入院した204人の31・4%が集中治療室に入り、4・9%が人工呼吸を必要としました。死亡はありませんでしたが、未成年でも一定の割合で重症化し、その際は後遺症が数カ月続くので、12歳以上であれば接種すべきです」
とは矢野医師の意見。副反応のデメリットより、
「自身の免疫や集団免疫を獲得するメリットのほうが、後遺症のリスクも下がり、よほど大きい」
と語るのは松井准教授。
「親から子どもに感染が拡大することも多く、どうしても子どもにワクチンを打たせたくないなら、周囲の大人がしっかり打って集団免疫をつけてあげることを考えてほしい」
Q.五輪で上陸という南米ラムダ株にも有効か?
「ワクチンの効果に影響を与えるかどうか不明ですが、重症化予防は維持されると考えてよいと思う」
とは矢野医師の見解。松井准教授が追加する。
「ワクチンを打つと複数の種類の抗体が産出されるようになり、そのなかの一部は変異株に効かないかもしれませんが、その他は作用するといった具合に、すぐにワクチンが効かなくなるということはありません」
しかもファイザーも、モデルナも、ワクチンをアップデートしている。心配して心のバランスを崩さず、変異株の前にも冷静でいることこそが、コロナ禍で健康を保つ秘訣だろう。
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