ひろゆき氏を論破した言語学者 在仏50年超の“F爺”小島剛一氏が語る日本人差別
侮蔑的な声
《グリズマンとデンベレの2人は共にフォワード。世界トップクラスのクラブチーム・FCバルセロナに所属し、フランス代表にも選ばれた。そんな一流選手が、なぜ日本人を差別したのか。
共同通信が7月6日に配信した「仏サッカー選手、日本差別か 映像流出、批判浴び謝罪」を中心に、何があったのか箇条書きにしてご紹介する。
・動画は2選手が2019年7月に来日した際、宿泊したホテルの部屋で、デンベレ選手が撮影した
・撮影されたのは、ホテルの日本人従業員。2人が遊んでいたゲームの不具合を直すため、部屋を訪れていた
・選手がSNSで私的に共有していたと見られる。今月初め、身元不明の人物が動画をTwitterに掲載して大きな問題となった
差別発言について、共同通信はデンベレ選手が「このひどい顔」とフランス語で発言。日本語のやりとりを聞き「なんて言葉だ」とからかったと伝えた》
小島:外国人を差別する時に特有の、侮蔑的な声のトーンというものは歴然として存在します。私はフランスに住むようになってから、「極東人」として何千回も差別の被害に遭ってきました。その時の口調と全く同じでした。
友人も「差別」と断言
小島:動画では日本人スタッフの顔を、無遠慮にアップで撮った場面もありました。「この動画の撮影者は、被写体である日本人を嘲笑しようとしているな」とピンと来ます。フランス人の作成した動画だったため、日本人の大多数は差別のニュアンスを読み取れなかったかもしれません。しかし日本人が日本語を使いながら同じ内容の動画を撮影したとすれば、たとえ録音の状態が悪くとも、差別だと判断した日本人は多かったはずです。それほど人種差別言動であることの明白な動画でした。
フランス人の友人たちも、基本認識は全く同じでした。私を含めて全員「これは悪質な人種差別だ」という点では意見が一致していました。そのため「2人は動画で何と喋っていたのか」についての議論が大半でした。ある友人が「こう言ったんじゃないか」と推測すれば、別の友人が「いや、ああ喋ったんじゃないか」と反論するわけです。そのうちフランスのメディアが、発言内容を報じだしました。
今でも不思議なのですが、報道各社がすり合わせを行ったのかと思うほど、2選手の発言内容は統一してありました。それを踏まえ、私の「F爺・小島剛一のブログ」に7月4日、「Ousmane Dembéléウスマン・デンベレとAntoine Griezmannアントワーヌ・グリズマンの日本人差別動画」という記事を投稿しました。
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