ボクシング「メダル3個」の功労者はウズベキスタン人コーチ その仕掛け人は「男・山根」だった

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 東京五輪のボクシングで金メダリストが誕生した。女子フェザー級の入江聖奈選手(日体大)。女子フライ級の並木月海(自衛隊体育学校)も銅メダルに輝いた。男子の田中亮明(岐阜・中京大中京高教)と一大会3個のメダルはボクシング史上初の快挙だ。

 女子の金メダル獲得は史上初、2012ロンドン五輪の村田諒太以来3人目の金メダルとあって、ボクシング界は沸いている。

 ただ、選手たちの快挙の一方で、気になる動きがある。新聞各社の記事に不可解な記述が多く見られることだ。4日の毎日新聞Web版はこう書いている。

『18年の日本連盟前会長の山根明氏の辞任後に新たな組織作りに着手したことが大きい。強化部門に女子強化委員会を独立させ、これまで男女合同だった強化合宿を単独で実施し、女子に特化した強化が可能になった。』

 また同日、スポーツ報知はこう報じた。

『躍進の要因を複数の日本連盟関係者に聞くと、18年の不正発覚で前会長の山根明氏が辞任したことで「前会長の“呪縛”から解放されたことが大きい」と口をそろえる。

 前会長の意向で五輪強化費の配分は男子にほとんどが注がれ、「女子はオマケみたいだった」という。有望選手がいながら12年ロンドン、16年リオと五輪に選手を派遣できなかった。「将来が見えない」とアマチュアボクシングから身を引く選手も少なくなかった。』

 他にも、新体制になって連盟の「風通しがよくなった」ことが今回の好結果の要因、と書いた記事もあった。これらを読むと、いかにも山根前会長を追い出した連盟刷新がメダル獲得の要因で、連盟の新体制は選手本位の強化を進めている印象を与える。だが、実際にはそうと言えない状況が連盟の内外に渦巻いている。この1年、私の元にはほぼ連日、新しい連盟の中心人物たちが「山根おろし」で協働した仲間たちを次々に冷遇し、ごく一部の意向を押し通す専横的な運営体制を敷いているかの嘆きと怒りの声が送られ続けている。メディアは、この状態をわかっていないはずはないが、新しい首脳陣は「男・山根」ほどキャラクターが強くないせいか、見逃されたまま東京五輪を迎えた。

 私の取材を総合すれば、メダリスト3人をサポートしたのは連盟の新体制ではなく、現場で強化にあたるコーチ陣たちであり、選手たちがジュニアの頃からそれこそ手弁当で、見返りを求めることもなく育成に情熱を注いで来た「ボクシング命」の全国各地のジュニア、高校などの指導者たちの結晶だ。

「メダルを獲ったら急に自分たちの手柄みたいに振舞う連盟の中心人物は本当に許せません。この成果は、ここ2,3年の努力の結果ではありません。今回、代表に選ばれなかったけれど一緒に汗を流してくれた沢山の選手や指導者も含めて、みんなで夢見て頑張ってきたお陰で今があるんです」

 強い口調で言うのは、「山根おろし」では協働し中心的な役割を果たしながら、新体制発足直後に連盟を離れた有力な指導者だ。

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