「東京五輪」中継でテレ朝が一人勝ち くじ運とSNS戦略が大当たり

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SNS戦略も

「日テレにようやく中継権が回ってきたのは27日でした。これはフジテレビやテレビ東京よりも遅く、中継したのは卓球や競泳でした。この日、サブで中継したのがテレ朝でした。実はテレ朝は、2日連続でメイン中継した後、26日、27日はサブに回ったのです。26日はバレーボール男子・日本×カナダ、27日にはソフトボールの3位決定戦と決勝(日本:金メダル)を中継しました。日テレの『卓球4回戦・女子シングルス/3回戦・男子シングルス』は世帯視聴率9.8%(個人5.3%)に対し、テレ朝の『ソフトボール決勝』は世帯23.0%(個人14.5%)と勝負にならなかった」

 そこでテレビ業界にも歴史的瞬間が訪れた。

「テレ朝は7月26日からの1週間も三冠、それどころか月間でも三冠を取ってしまいました。日テレは今、世帯視聴率よりも個人視聴率を重視しており、個人で高視聴率を上げる編成を組んでいます。それゆえ、日テレは個人視聴率では20年4月から15カ月連続で三冠でしたが、それも潰えてしまいました」

 テレ朝が2週連続で三冠を獲得したのは記憶にないという。

「日テレが中継した27日には、すでに視聴者に“東京五輪=テレ朝”というイメージが出来上がっていたのです」

 確かに、テレ朝は放送日と競技に恵まれていたように見える。

「テレ朝には巧妙なSNS戦略もありました。中継を見ながら、日本がメダルを獲得すれば、視聴者は《おめでとう!》とツイートしたくなるものです。特にTwitterは、オリンピックのような大規模イベントの際には、場面を共有して盛り上がる特性がありますからね。そこでテレ朝の公式Twitterでは、《#五輪はテレ朝》《#Tokyo2020》というハッシュタグを多用し、SNS上でも盛り上がりを作り上げました。それが“東京五輪=テレ朝”というイメージを助長させたと思います」

 テレ朝は確かに多くのメダル獲得の瞬間を中継した。そのため、メダル獲得の速報がテロップで流れると、テレ朝にチャンネルを合わせるという現象も見られたという。

「開催前はあんなに反対の声があったんですけどね。これで思い出したのが、19年に日本で開催されたラグビーワールドカップです。あの時も開催までは全く盛り上がる気配がありませんでした。しかし、開幕した途端に、誰もがラグビーファンとなりました。あの時は日テレが放映権を持っていたために、日本がベスト8入りを決めたスコットランド戦では39・2%の数字を叩き出しました。これをきっかけに日テレは快進撃を続けたのですが、ひょっとすると五輪をきっかけにテレ朝が躍進する可能性も出てきました」

 運も実力のうちとは言うけれど……。

デイリー新潮取材班

2021年8月5日掲載

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