三浦春馬さん遺作「太陽の子」プロデューサーに泥沼訴訟 数千万円の出資金巡り
7月18日に一周忌を迎えた俳優・三浦春馬。彼のファン待望の映画「太陽の子」が公開される。
【初公開写真あり】三浦春馬さん、リラックスした表情のオフショット姿
映画業界関係者によれば、
「三浦さんの死去後まもなくNHKで放送された同名ドラマがベースになっていて、今夏の邦画では最大の話題作です。大河ドラマ『青天を衝け』の黒崎博監督がメガホンを握り、主題歌は福山雅治が担当。広島に原爆が投下された8月6日に全国約240館の劇場で封切られる予定です」
三浦は陸軍の下士官を熱演して高い評価を得た。劇場版への期待も高まるが、
「『太陽の子』でエグゼクティブプロデューサーを務める佐野昇平氏が、実は、泥沼の訴訟沙汰を抱えているようでして……」(同)
騒動の発端は、佐野氏がプロデューサーとして携わった2014年公開の映画「太秦ライムライト」。この映画の製作費を管理する幹事会社は、佐野氏が代表を務める「イレブンアーツ・ジャパン」である。同作は時代劇の“斬られ役”として知られた故・福本清三氏を主役に据えた異色作だ。
本誌(「週刊新潮」)の取材に出資者のひとりが重い口を開く。
「13年に佐野さんと知り合い、『太秦ライムライト』への出資をお願いされました。主人公の福本さんは『ラスト サムライ』でトム・クルーズとも共演した伝説的な斬られ役。海外での評価も期待できたので1500万円を出資しました」
だが、出資者は公開後になって、映画製作のために集めた資金1億1200万円から経費を引いた差額が、5千万円以上にのぼることに気づいたという。
「本来は、残額の半分は出資比率に応じて出資者に配当金として支払われます。しかし、佐野さんに尋ねても“持ち逃げされた”と言うばかりなのです」
なぜ6年も
では、これほど多額のカネがどこに消えたのか。
当の佐野氏が説明する。
「あの映画には京都市から助成金が入っていました。京都市とは脚本家が交渉し、助成金は彼が副委員長を務める『太秦ライムライト』製作委員会の口座に振り込まれた。そこからイレブンアーツの口座に1670万円が送金されたのは13年11月のことです。しかし、15年になって助成金の総額が6170万円だったことが発覚しました。助成金の全額を製作費に充てられれば、出資者を募る必要も、撮影費用などの支払いに窮して脚本家に資金を借りることもなかった。映画の製作費はすべて弊社が負担しているので、脚本家がでたらめな領収書に基づいて京都市に決算報告したのではないかと疑ってしまいます」
佐野氏がそう主張する一方、この脚本家は18年に未返済金を請求するためイレブンアーツを提訴。だが、佐野氏らは、借金の原資は自分たちが手にすべき助成金だったなどとして、すでに返済した2800万円の返還を求めて今年3月に反訴した。こうした佐野氏の主張に、脚本家は異を唱える。
「確かに、製作委員会には京都市から6170万円の助成金が入っています。ただ、内規によって助成金の過半を京都市に本社を置く企業など、市の関連先に対して使用することが定められていました。佐野さんたちにも“京都市から助成金がおりそうだが、使途が決められているので渡せるのは1600万円ほどになりそうだ”と伝えました。彼らは助成金の残額を使途不明金のように主張していますが、京都のスタッフやキャストへの支払いは委員会が行っている。不正流用した事実は一切ありません」
京都市に尋ねると、
「分担金(助成金)は適切な使途で支出されていると確認しています」
先の出資者もこう続ける。
「佐野さんが助成金の扱いを疑うのなら、反訴ではなくきちんと訴訟を起こすべきです。なぜ発覚から6年も提訴しなかったのか理解できません。また、『太陽の子』の製作を手掛けるのは、佐野さんが資本金1万円で立ち上げた“KOMODO PRODUCTIONS”。イレブンアーツではなく別会社を使ったのは、訴訟沙汰が露見することを隠したかったからではないか」