久保建英の移籍先は五輪の活躍で決まる? レンタル移籍先で思うように結果が出ず

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 サッカー男子1次リーグで初戦の南アフリカ戦に続いてメキシコ戦でもゴールを決め、存在感を増す久保建英(たけふさ)(20)。所属元のレアル・マドリードからのレンタル移籍先で出場機会に恵まれずくすぶる彼にとって、今回の五輪は実力をアピールする絶好の場なのである。

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7月22日の南アフリカ戦、後半26分に久保があげた決勝点について、

「カットインして左足で打つシュートは久保の得意技。非常に素晴らしかった」

 と話すのは、ドイツ、ブンデスリーガ1部アルミニア・ビーレフェルト元ヘッドコーチの鈴木良平氏。

「南アフリカも久保がカットインして左足シュートを打ってくるのは重々承知の上でした。だからずっと2人態勢で久保を徹底的にマークして抑え込んでいたのですが、あのシュートの場面だけ南アフリカの久保へのマークが1人になった。わずかな隙を捉えたシュートでした」

 南アフリカ戦の3日後に行われたメキシコ戦では先制点をあげた久保。

「あの試合を見て、他の選手たちに比べて久保の実力は際立っているなという感じがしました」

 スポーツライターの加部究氏はそう語る。

「相手のパスコースを狙い撃ちし、カットしてシュートする場面や、相手マークを振り払い、フリーで走り込むシーンがありました。そういう駆け引きをよく考えたプレーに徹したという印象です。試合状況に応じて自分が何をすべきかを判断する能力は卓越していると思います」

 まさしくチームの中心選手として期待通りの活躍を見せる久保について、

「記者の間からは、元日本代表の中田英寿に似てきた、という声が上がっています。現役時代、イタリア語が堪能な中田がイタリアのメディアに対して快く取材に応じる一方、日本のメディアに対して頑なな態度を取ることが多かったのは有名な話。スペイン語が堪能な久保もスペインメディアには丁寧に対応するのに、日本のメディアに対しては不機嫌な態度を取ることもあります」(スポーツ紙記者)

「自覚している」

 ただし、二人の経歴は全く違う。1998年のワールドカップでの活躍をきっかけとしてイタリア・セリエAの「ペルージャ」に所属する道が拓けた中田。一方の久保は10歳でスペインの名門・バルセロナの育成組織(カンテラ)に入り、13歳で帰国。FC東京で実績を積んだ後、再びスペインに戻り、19年にはレアル・マドリード入りが発表された。20年~21年はビリャレアルとヘタフェにレンタル移籍したものの思うような活躍を見せられていない久保は、

「本人の発言とか表情を見る限り、東京五輪でアピールしなくてはいけないと十分自覚しているように見受けられます」(鈴木氏)

 加部氏も言う。

「現在、久保はレアル・マドリードと契約していますが、レアルでプレーすることはあり得ず、またレンタル移籍する形になるでしょう。そうなると、この東京五輪での活躍次第によって来季、彼がどのレベルのチームにレンタル移籍になるかが決まると言っても大げさではない。五輪での活躍がそのまま自分の将来に繋がるわけです」

 故にモチベーションは十分。いやが上にも「メダル」への期待が高まるのだ。

週刊新潮 2021年8月5日号掲載

特集「このままでは『敗北の空っぽ五輪』 今からでも『競技場に子どもたちを!』」より

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