長男に選挙区を譲る塩崎恭久元厚労相 言行不一致で「史上最もひどい世襲」という声

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祖父、父、孫が議員!?

 総選挙が近づくにつれ、世襲議員に対する関心も高まっている。政党の中で自民党の“世襲比率”は約3割と最も高い。立憲民主党でさえ1割に過ぎないとされ、自民党だけが突出していると言っていい。

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 有権者が世襲を厳しい視線で見ているのは言うまでもない。世論を気にした自民党は2018年、「党・政治制度改革実行本部」が世襲を制限する提言をまとめたことがある。政治担当の記者が言う。

「世襲の全廃は無理としながら、少しでも制限をかけようとしました。例えば、現職が血縁関係のある後継者に議席を譲ろうとする場合、任期満了の2年前までに引退を表明することや、衆院選の小選挙区で立候補する場合、比例との重複を認めないといった“改革案”が提言の柱でした。ところが原案がまとまると、党内から異論が噴出したのです」

 世襲議員は「逆差別だ」と激しく抗議。ベテラン議員は「支援者と共に離党する」と牽制するなど、党内は大混乱となった。結局、提言は骨抜きにされてしまう。

 この時、実行本部の本部長を務めていたのが、官房長官や厚労相を歴任した塩崎恭久・衆議院議員(70)だった。彼も世襲議員なのはよく知られている。

 父親の塩崎潤氏(1917~2011)は東京帝大から大蔵省。1969年の衆議院議員選挙に旧愛媛1区から出馬し、初当選を果たした。

 長男である塩崎議員も、似た経歴の持ち主だ。東京大学から日本銀行。父が引退した1993年、衆議院議員選挙で同じ旧愛媛1区から出馬して当選した。

愛媛に激震

「世襲を制限しようと塩崎議員が本気で考えていたのは間違いないと思います。民主党政権下だった2009年、塩崎議員は自民党の会合で、『私もいわゆる世襲』と前置きした上で、『政治は家業ではない』と発言しました。当時の朝日新聞は『世襲決別宣言』と報じました。記事には『息子に当然のような顔をして継がせるのはおかしい』という言葉も紹介されています」(同・記者)

 ところが、である。塩崎議員の長男・彰久氏は7月22日、松山市内で会見を開次回衆議院選の出馬を発表したのだ。

 経歴は祖父や父に似ている。1999年に東大を卒業、2002年に東京の大手法律事務所に入所した。アメリカのスタンフォード大や、ペンシルバニア大の留学経験もある。会見の報道時、新聞各紙は「44歳」と報じた。

 地元でも大騒ぎになったようだ。前出の記者は「愛媛県政界に激震が走ったと言っても、過言ではないと思います」と言う。

「何しろ広島市に本社があるブロック紙の中国新聞は6月17日の紙面で、塩崎議員が出馬する可能性が高いとの記事を掲載したほどです。塩崎議員が引退すると考えていた関係者は皆無だったでしょう。7月19日に不出馬が発表されましたが、自民党の愛媛県連の幹部は地元メディアの取材に『青天の霹靂』と語っていました」(同・記者)

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