海外選手・メディアが「刑務所」と呼ぶ選手村の実態 コンドームは帰国時に配布

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 東京五輪招致のためのプレゼンテーションで滝川クリステルが「お・も・て・な・し」とアピールしたのは8年前。しかし今回、東京五輪に参加する海外の選手や関係者が日本のおもてなし精神を感じられる機会はほとんどない。それどころか、選手からは「刑務所みたい」との声も……。

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〈待望の五輪:東京で厳しいルールを乗り切るオリンピアンたち〉

 AP通信は7月17日にそんなタイトルの記事を配信している。

〈金メダルの獲得や自身の持つ世界記録の更新が期待されるシドニー・マクラフリン選手は、400メートルハードル決勝の3日後に22歳になる。彼女の盛大な誕生日の計画は?「カップケーキを見つけて、一人でろうそくの火を吹き消そうかな」とのこと。楽しみのない五輪へようこそ。ここではコロナのパンデミックのために、お祝いや友情の発露も厳しいルールと規制によって無音のうちに行われる。選手が東京五輪を乗り切るのは簡単ではないかもしれない。お祝いの時でもマスクは必須。大人数での食事は避けること。アルコールは自室で、そして一人で〉

〈「俺の頭の中では、まるでクールな刑務所みたいな感じじゃないかと思うよ。すごく興奮するんだろうけど、それでも刑務所は刑務所なんだ」と話すのは、米国のアーチェリー選手で、3度のメダル獲得の経験があるブレイディ・エリソン選手だ〉

「静寂でした」

 組織委員会などが作成した「プレイブック」には、

〈散歩をしたり、観光地、ショップ、レストラン、バー、ジムなどに行ってはいけません〉

 とあり、選手村などの宿泊施設と大会会場以外には基本的に足を踏み入れないことを海外選手らに求めている。これでは確かに、「作業」の時以外は房を出られない刑務所を連想するのも無理はないのである。

〈セックスもダメ、応援もダメ、表彰台ではマスクをつけて、食事は一人で…ようこそ喜びのない五輪へ〉

 7月18日、デイリーメールオンラインはそう題した記事で、

〈セックスの禁止については、いくつかの形で主催者側からほのめかされている。最新のプレイブックでは、参加者は「ハグや握手を含む身体的接触を避けること」と「他者との身体的接触は最小限にとどめること」が求められている〉

 とした上で次のように書いている。

〈1988年のソウルオリンピック以来、世界でもっとも健康な男女でいっぱいになる選手村において、安全なセックスを促進するため、主催者は何十万ものコンドームを提供してきた。東京の組織委員会は、今回、16万個のコンドームを配布するプランを断念し、選手たちの帰国時に配ることにした〉

 AP通信は7月24日付の記事で、無観客で行われたビーチバレーの試合を次のように描写している。

〈潮風公園の会場は、ファンの立ち入りが禁止されていたため、不気味なほど静まり返っており、近くの木々から聞こえてくるセミの鳴き声だけが耳障りだった。(中略)2016年に地元(リオデジャネイロ)の観客の前で銀メダルを獲得し、今大会でも土曜日(7月24日)にアルゼンチン選手にストレートで勝利して開幕を飾ったブラジルのアガタ・ベドナルチュクは、「試合の雰囲気はとても違っていました」と語った。「ブラジルでは、私たちは最大のサポートを受けました。ブラジルではたくさんの人が応援してくれましたが、ここにあったのは静寂でした」と手で平らな線を描きながら語っていた〉

 メダルラッシュに沸く日本のテレビには決して映らない海外選手の懊悩──。

週刊新潮 2021年8月5日号掲載

特集「このままでは『敗北の空っぽ五輪』 今からでも『競技場に子どもたちを!』」より

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