中国に媚びざるを得ないハリウッド ジャッキー・チェンは「共産党に入りたい」、リチャード・ギアは反中発言で追放に

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「自由の国」で「自由」が奪われる。これほどの皮肉はなかろう。ジャッキー・チェンが「入党宣言」で中国にすり寄る一方、アメリカでは反中発言をしたリチャード・ギアらハリウッド俳優が干されているのだ。

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 ジャッキーが件の発言をしたのは、彼が副主席を務める中国映画家協会が7月8日に北京市で開いた座談会でのこと。曰く「共産党は偉大だ。党が約束したことはわずか数十年で実現する。私も党員になりたい」。

 中国事情に詳しいジャーナリストが解説する。

「1997年の香港返還以降、香港映画は中国資本頼みの状況です。ジャッキーはそうした映画業界のことを考え、昔から中国共産党を支持する発言をことあるごとに繰り返しています」

 実は、映画界の「媚中」ぶりはハリウッドでも顕著になりつつあるという。

「アメリカではジャッキーよりも、別の俳優の発言が注目されています」

 とは在米映画評論家の猿渡由紀氏である。

「日本でもこの夏に公開される人気シリーズ『ワイルド・スピード』の最新作に出演しているジョン・シナというハリウッド俳優が台湾メディアのインタビューに“(台湾が)『ワイスピ』最新作を見られる最初の国”と発言し、中国で批判されました。その後、ジョン・シナは発言を撤回し、謝罪しています。中国に配慮した結果ともいわれているのです」

 中国の映画市場はコロナ禍の2020年に約3300億円。世界的に映画館が閉鎖される中、アメリカを抜き、世界一となっている。ハリウッド映画における中国の影響力は強まるばかりなのだ。

チベット独立を…

「最近では大作映画に中国企業が出資することも珍しくありません。中国で公開されれば興行的にも大きなプラスになるので、中国当局の検閲に引っかからぬように、製作サイドに専門のコンサルタントを置くなど、描写にはかなり気を遣うようになっています」(同)

 実際、俳優でも中国に嫌われた途端に映画に出演できなくなる例が相次いでいる。その一人が「プリティ・ウーマン」でおなじみのリチャード・ギアだ。

 熱心なチベット仏教徒の彼は、ダライ・ラマ14世とも親交があり、90年代からチベット独立を支持。現在は事実上のハリウッド追放状態となっており、

「本人はメディアのインタビューで“中国からダメと言われて出演できなかった映画は何本もある”と語っています。事実、この十数年は大作には出られない状況が続いています」(先のジャーナリスト)

 また他にも、ブラッド・ピットは97年公開の「セブン・イヤーズ・イン・チベット」に主演しているが、

「チベットの描かれ方に反発した中国政府はブラッド・ピットを含む主要キャストを入国禁止とし、その措置は16年まで続きました」(猿渡氏)

 また、シャロン・ストーンは08年のカンヌ国際映画祭で四川大地震について「(チベット弾圧への)報い」だと発言。中国では彼女がイメージキャラクターを務めていたクリスチャン・ディオールの不買運動に発展し、謝罪へと追い込まれている。

 こうした抑圧的な状況を放送プロデューサーのデーブ・スペクター氏は、

「リベラルな考えで、自由や抑圧からの解放を題材にした映画を多く作ってきたのがハリウッドです。それがチベットやウイグルを弾圧する中国と手を結ぶとはブラックジョークでしかありません。いくら中国市場が巨大でも干されるべきは俳優ではないでしょう」

 米映画界が“赤”に染まる日も近いかも。

週刊新潮 2021年7月29日号掲載

ワイド特集「異次元空間」より

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