【ブックハンティング】「言語学」×「プロレス」で見えてくる、難しくて愉快な私たちの「ことば」
こんなにはっちゃけたエッセイ本は本当に久しぶりだ。どうかしていると言っても過言ではない。なにしろ冒頭から橋本真也の「時は来た!」発言だとか「ラッシャー木村のこんばんは事件」とか、1990年代の週刊プロレスかと思うようなネタなのである。しかもそれらを──ふんだんにギャグを織り交ぜながら──言語学的に解き明かそうとする。
著者の川添愛さんが一流の言語学者にして熱狂的なプロレスファンだというのはわかるが、それを混ぜてしまっていいのか。あたかも一流の柔道家だった小川直也が必殺技STO(スペース・トルネード・オガワ。...