U-24はフランスに完勝 見逃せない上田綺世と冨安健洋の活躍
金メダルの可能性!?
南アフリカ戦の重苦しい勝利はいったいなんだったのだろう。そう思わざるを得ない、フランス戦の完勝だった。
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久保建英(20)が3試合連続となる先制点を決めれば、5年間マルセイユでプレーした酒井宏樹(31)がチームメイトの前で追加点を奪う。そして後半には三好康児(24)と前田大然(23)が大会初ゴールでダメを押した。
フランスを始めドイツとルーマニアのヨーロッパ勢は、グループリーグで敗退。優勝候補の一角だったアルゼンチンもエジプトに足元をすくわれるなか、日本は唯一3連勝でベスト8進出を果たした。
フランス戦の完勝で見逃せないのが、初スタメンで3ゴールに絡んだ上田綺世(22)のプレーだ。
南アフリカ戦とメキシコ戦でスタメン出場を果たした林大地(24)は、前線からの労を惜しまない献身的な守備と、相手DFライン裏への飛び出しを武器に2連勝に貢献した。しかし気負いからか、果敢な飛び出しはオフサイドになったり、メキシコ戦では相馬勇紀(24)のクロスを空振りしたりと(VARでPKを獲得)、気合いが空回りしていた。
その点、上田は常に冷静だった。27分に久保からのパスを足元で受けると、ドリブルでペナルティエリア右に持ち出し、腰を捻って逆サイドへとシュートを放った。結果的にGKポール・ベルナルドニ(24)の正面だったが、強シュートにGKベルナルドニは弾くのが精いっぱい。これを久保が冷静に左足ボレーで流し込んだ。
ケガをしていた上田
上田が右サイドへ持ち出したことで、シュートの角度はかなり狭まっていた。旗手怜央(23)が中央に走り込んでいたため、クロスを選択してもおかしくなかった。しかし上田はシュートを選択した。ストライカーらしい決断である。
そして34分の2点目も、久保のスルーパスをペナルティエリアやや左で受けると、躊躇うことなく左足を強振し、セオリー通り右サイドを狙った。これもGKベルナルドニは弾くのがやっとで、右から詰めていた酒井がフリーで押し込んだ。
上田は後半にもポストプレーから三好のゴールをお膳立てしているが、大会前に足の付け根付近を傷め(肉離れ)、チームとは別メニューでリハビリを続けていた。
7月15日のリモートによる会見では「リハビリをして本大会に合わせようという話をもらったときから、特に心境は変わっていません。それを提案してもらったときから本戦に出るつもりで入っています」と話したものの、南アフリカ戦もメキシコ戦も林との交代出場で、2試合で28分間しかプレーしていなかった。
それが、ようやくフランス戦ではスタメンで90分間フル出場。この試合で上田に欠けていたのはゴールだけだった。
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