「歩く3億円」と呼ばれた「女帝」が演出「銀座の詐欺の物語」 一等地に立つビルの売買を偽装

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貸しビル業

 銀座の老舗クラブ「ロイヤルガーデン」の元オーナーママであるSママは、2005年、バブル崩壊のあおりを受けて店を手放した。彼女の夫が経営するクラブの親会社「日栄総業」が潰れたのだ。夫妻は細々と貸しビル業を営んでいたものの、所有するビルの売買をめぐって詐欺紛いの事件を起こしたという。

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 ロイヤルガーデンのオープンは25年前。いつも目が眩むようなジュエリーを身に着けていたSママは、「歩く3億円」と呼ばれていた。

 日栄総業はロイヤルガーデンのほかにも数軒の高級クラブを運営し、Sママは「女帝」として君臨していたが、バブルの崩壊で、日栄総業は350億円の負債を抱えて破綻。ロイヤルガーデンは当時の雇われママが引き継ぐことになり、女帝の姿はネオン街から消えた、かと思われた。

 だが、Sママ夫妻は完全に銀座を離れたわけではなかった。日栄総業は潰れたが、銀座8丁目の「サンウッドビル銀座」を所有する「サンウッド・ツウィンエンタープライズ」というグループ会社で貸しビル業を営んでいたのだ。

売買を偽装

 そのビルを舞台に、夫妻は詐欺紛いの事件を起こして警察沙汰になっている。被害者である東京・渋谷区の不動産業者は憤りを隠さない。

「16年当時、Sママの生活拠点は黒川紀章デザインで著名人も多く住む“チュリス赤坂”という高級マンションでした。しかし、借金のカタとして権利を暴力団関係者に取られ、それを取り戻すために夫婦で私から金銭を騙し取る計画を立てたのです」

 その計画とは、サンウッドビル銀座の売買を偽装することだった。「Sママや夫の詐欺師としての本当の姿を明るみに出すため、20年3月初めに警察に告訴状を提出しました」

週刊新潮」2020年4月9日号「MONEY」欄の有料版では、元オーナーママとその夫による事件の経緯を詳報する。

週刊新潮 2020年4月9日号掲載

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