事件現場清掃人は見た 今も悔いが残る首吊り自殺した「30代女性」の部屋のリフォーム

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『自殺したい』

 消毒とリフォームを終えた高江洲氏は、遺品整理に取り掛かった。

「ダンボール箱に衣装や写真、通帳、装飾品などを詰めました。不動産屋から、東北にある女性の実家の連絡先を聞き、電話しました。母親が出向いて来ることになりました」

 高江洲氏は、女性の母親から色々話を聞かされたという。

「亡くなった女性は、精神を病んでいたのです。そのため、仕事も辞めていたといいます。彼女は母親に『自殺したい』と何度も訴えていたそうです。その度に母親は、励ましの言葉をかけていたということでした。母親は、『悔やんでも悔やみきれない』と嘆いていました」

 高江洲氏は、この時の仕事でも納得がいかないという。

「私の特殊清掃は、臭いが完全に取れた時に完了します。最後は鼻を床にこすりつけるようにして、臭いがないか確認するのです。ところがあの時の仕事は、ユニットバスを解体できなかったし、階下の天井も交換できませんでした。そのため不動産屋に、『臭いが残るかもしれませんが、それでもいいですか』と念を押しました。私にすれば、不本意な仕事でした。母親の悔しさも痛いほど伝わりました。せめて、お部屋だけでも完璧に元通りにしたかったのですが……。なんとも後味の悪い思いが、いつまでも心に重くのしかかっています」

デイリー新潮取材班

2021年7月30日掲載

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