五輪開会式「視聴率56%」に仰天 開催中止の大声よりも“声なき声”が数字に表れた説
フタを開けたら56.4%! 7月23日、東京五輪開会式(NHK総合)の世帯視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区:以下同)だった。あれほど、五輪反対が声高に叫ばれていたにもかかわらず――。
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そもそも今回は、東京開催の五輪で、開会式は金曜夜だったので視聴率は上がって当然だった。しかしコロナ禍での開催に反対する声が根強かったことに加え、直前になってバタバタと演出家などが辞任したことで、かなり数字は下がるとの見方も多かった。これには民放プロデューサーも驚いたという。
「前回の東京五輪は別格として、これまで五輪開会式の視聴率は、84年のロサンゼルス大会の47.9%が最高でした。前大会のリオデジャネイロは23.6%ですからね。正直言って、東京五輪は、昨年の『NHK紅白歌合戦』(40.3%)を超えたらいいな、くらいに思っていました。開会式の演出は残念ながら大したことはありませんでしたしね。ところが実際は、56.4%でしょう。声なき声が数字に表れたというところでしょうか」
勝てば高視聴率
前回の東京五輪の開会式(64年10月10日)は、NHK(教育テレビは除く)と民放各社が横並びで放送した。放送開始時間は微妙に異なるが、14時台を中心に2~3時間の中継だった。視聴率は以下の通りだ。
●NHK総合:61.2%
●日本テレビ:6.0%
●TBS:7.5%
●フジテレビ:3.1%
●NETテレビ(現・テレビ朝日):3.4%
●東京12ch(現・テレビ東京):1.4%
〆て82.6%。国内初であり、戦後復興を内外に示す大会である。さすがにこの時には及ばないが、今回も負けず劣らずの高視聴率だ。ところが、60年近く経つと視聴者の見方もずいぶん変わったという。
「まず、ライブでしか数字は取れません。事前の紹介やハイライト、録画は全くダメです。そして結果次第であること。金メダルが取れれば一番いいのはもちろんですが、負ければ数字は取れません。弱い競技には見向きもしませんね」
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