「選手を生かすも殺すも監督次第」 イギリス戦敗退で高倉監督の選手交代に疑問符

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「なでしこ」1敗

 試合に触れる前に、簡単にイギリスというチームについて説明したい。イギリスとは、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つの国で主権国家を形成している連合王国である。

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 そして女子のイギリス代表が五輪に出場するのは、2012年のロンドン大会以来2度目となる。2回しか出場していないことを意外に思う読者も多いかもしれない。

 しかし、FIFA(国際サッカー連盟)主催の大会では、イギリスという国は存在しない。FIFAは1カ国に1つのFA(サッカー協会)を認めていて、FAのある国はW杯予選に参加する資格がある。

 このためW杯予選にはそれぞれ、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドとして出場している。英国4協会は、それぞれ独立したFAなのだ。

 なぜ英国4協会はそれぞれ独立したFAとして認められているかというと、イングランドのFAが創設されたのは1863年、スコットランド(SFA)は1873年、ウェールズ(FAW)は1876年、北アイルランド(IFA)は1880年に対し、FIFAの創設は1904年と、4協会ともFIFAが創設される前から独立して存在していたからだ。

 ところがIOC(国際オリンピック委員会)には連合王国であるイギリスとして加盟しているため、イングランドとして予選を突破しても、単一国家での参加をIOCは認めていない。スコットランドやウェールズらの選手との連合チームでないと参加できないのだ。しかし、過去の五輪ではいずれも実現せず、男子も予選を突破しながら五輪本大会は辞退することがほとんどだった。

前半は互角

 そんなイングランドが五輪に参加したのは12年ロンドン大会、自国開催の五輪だった。男子チームはスコットランドが辞退したため、イングランドとウェールズで連合チームを結成。ライアン・ギグス(ウェールズ/マンチェスターU)やダニエル・スタリッジ(イングランド/チェルシー)ら豪華なメンバーだったが、準々決勝で韓国にPK戦で敗退しベスト8止まり。同じく女子チームもベスト8で敗退した。

 前置きが長くなってしまったが、イギリスがW杯に不参加という理由がこれで理解していただけると思う。今回対戦したイギリスは、イングランド勢を中心に、ウェールズ代表のソフィー・イングル(30)、スコットランド代表のキム・リトル(31)とキャロライン・ウィアー(26)を加えたチーム構成だ。

 そんなイングランドを相手に、前半の日本は互角に近い攻防を見せた。その理由は、高倉麻子監督(53)がカナダ戦からスタメン5人を入れ替える大胆な采配にあった。

 カナダ戦ではファンブルやキックをブロックされるなど不安定だったGK池田咲紀子(28)に代え、代表41試合出場と経験豊富な山下杏也加(25)を起用。左サイドのSBには戦術眼に長けた宮川麻都(23)を、MFには長いリーチを生かしたボール奪取に定評のある杉田妃和(24)を同時投入した。

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