コロナ禍の子育てで注意すべきことは 否定言葉に要注意、家の近所でもできることは?

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 コロナの蔓延により、家で一緒に過ごすことが多くなった子供との“距離感”に悩んでいる親は多いはずである。ゲームばかりするようになったら? 祖父母とは疎遠なままでいい? こどもコンサルタントの原坂一郎氏が説く、目からウロコの「コロナ禍の子育て術」。

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 長引くコロナ禍が子供たちにとって見えないストレスとなっていることは間違いありません。昨年自殺した小中高生の数が過去最多の499人に上った、というニュースには本当に心が痛みます。自殺が10代の死因の1位になっているのです。そんな時代の子育てに悩んでいる人が今、とても多くなっています。世の中の全てが変わってきて、自分の子育てのやり方に自信がなくなった人も多くいるようです。そんな方にはぜひ、私の話に耳を傾けてほしいと思います。最初に言っておきたいのは、コロナ禍がいくら長引こうが、親や家庭の在り方さえしっかりしていれば、子育てへの影響はほとんどない、ということ。そして、子供への関わり方次第で、子供たちが将来成長した時、「あの時のコロナ騒ぎ、大変だったけどなんか楽しかったな」という印象が残るようにもできるでしょう。あの頃キツかったわぁ、ではなく、なんか楽しかったなぁ。その「なんか」というのはほんの小さな事柄、例えば親とたくさん手をつないだとか、おやつを一緒に作った、とか。ちょっとしたことでいいのです。

〈兵庫県神戸市での23年間にわたる保育所勤務を経て「こどもコンサルタント」となった原坂一郎氏。これまでに講演などで全国千カ所以上を回った「子供及び子育てのプロ」は、コロナ禍での子育てのポイントは「親や家庭の在り方」だと説く。〉

 案外ちゃんとやっています、子供は。むしろちゃんとやれていないのは親かもしれません。子供のことを見る時間がずいぶん増えたはずなのに見えていなかったり、あれだけ叫ばれている部屋の換気も全然していなかったり……。

 でも、大事なのは気にしないこと。子供のことでも自分のことでも、気にせずにその事実を丸ごと受け入れるのです。例えば「ウチの子、最近、何でもすぐに諦めるようになっちゃった」という事実があるのなら、それを何とかしようと思わず、まずはその事実をありのまま受け止めることが大事です。

 コロナが日常になってから、大人は子供にさまざまな酷なことを強いています。四六時中マスクをしなければならなかったり、存分に外で遊べなくなったり、おじいちゃんやおばあちゃんに会いにくくなったり。子供たちには、なぜそうなっているのか、理由を教えてあげてほしいのです。例えば、おじいちゃんおばあちゃんに会えない理由だったら、「お年寄りにうつると若い人より体調が悪くなりやすいんだよ」とか。理由が分かって「なるほど」と思うと、子供はそのルールを守ります。

「黙食」も「30秒手洗い」も言われたら子供は全部守ります。律儀すぎるくらい律儀なのです。

やらないほうがいい理由を

 子供には、自分の環境や自分に起こる状況をありのままに受け止める、という特徴があります。だからコロナのことも大人ほどはよく理解できていないまま受け入れています。「黙食」も「休校」も「親が家で仕事をすること」も、全部丸ごと受け入れる。ただ、それらが見えないストレスになって、サインとしてどこかに表れることがあります。例えば、チック症。症状はさまざまで、強いまばたきを繰り返す、鼻をひくひくさせる、変な咳をする、など。僕の息子も阪神・淡路大震災の後にありました。鼻をひくひくさせて、「えっえっ」という変な咳。ただ、僕は気にせずに笑いに転化させるようにしていました。鼻の穴をひくひく大きくさせたら、「イヨっ、出ましたサブちゃん(北島三郎さん)」と言って、笑いにしてお互い気にしないようにする。子供の全てをありのまま認める、というのは子育てで一番大事なポイントです。

〈とはいえ、家にいることが多くなった子供がゲームばかりしていると、やはり心配になってしまう親の方が多かろう。そんな親に対して原坂氏はどんなアドバイスをするのか。〉

 僕は「ゲーム以外にもう一つ好きなもの、打ち込めるものがあればオッケー」と言っています。体操の内村航平君もフィギュアスケートの宇野昌磨君も、合宿でも海外遠征でもいつもゲームを持ち歩くほどのゲーム好きだそうです。でも彼らからゲームを奪っても、他に打ち込んでいるものがあるからゲーム好きは問題ないのです。

「非認知能力」って知ってます? 「認知能力」は読み書き、計算。一方、それ以外の積極性や忍耐力など、読み書き計算では学べない生きる上で必要な力を「非認知能力」と言います。で、それを養成するチャンスにしてほしいのです、ゲームを。判断力、チャレンジ精神、忍耐力。計画性と達成感。手指の巧緻性。ゲームだからこそ育つものもたくさんあると思うのです。

 また、ゲームをするにあたって、親子間で約束やルールはあったほうがいい。そこで気を付けなければいけないのは、親子の約束がとかく「単なる親のお願い」になりがちな点です。例えば子供に対して「スーパーに行ったら何も触らないのよ。約束よ」と言うのは、単に親が触ってほしくないだけ。子供にとっては、それを守っても何の得にもならない。約束事を決める時は、そこに子供の事情や意見も入れることが大事。例えば、ゲームは夜10時以降はしない、という約束をするのなら、子供の意見も入れて、「ただし土日はOK」にするとか。

 もちろんゲームをやる時間はなるべく長くならないほうがいい。僕だったら、ゲームを長時間やらないほうがいい理由を論理的に伝えます。長時間やったら生じるデメリットを話すのです。ただし、「目が悪くなるよ」だけではダメ。それはただの脅しです。「目が悪くなってマンガも読めなくなっちゃうよ」と本人にやってくる不都合を具体的に添えて言うのです。

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