「鬱陶しくつきまとう」のネイティブな表現は? 在米医師が教える生きた英語

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 コロンビア大学医学部外科教授であり、ニューヨークのトップドクターとして知られる加藤友朗医師。『ネイティブを動かすプレミアム英会話50』(新潮社)の著者でもある加藤氏が日常で出会う“ネイティブ英語”を紹介。

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 前回informed consentは「理解した上での同意」と訳すべきだと書きました。ネットで物を買う際に突然細かい規約が出てきてそれに同意しないと先に進めないことってありますよね。そんな時中身を理解せずに同意していることはありませんか? これは形の上では同意したことになりますが本当の意味でのinformed consentではありません。医療の世界でネット・ショッピングと同じように軽々に同意することはないと思いますが、手術前に難しい専門用語で説明されて意味がわからなくても同意してしまっている患者さんもいるかもしれません。それを防ぐためにもinformed consentを「理解した上での同意」と訳してその意義を周知徹底することが重要だと僕は思います。

 さて今回の表現はbreathe down one’s neck。直訳では「首に息を吹きかける」という極めて気持ちの悪い行為ですが、これは誰かが首に息がかかるぐらい近くで監視するということで、「しつこく監視する」「鬱陶しくつきまとう」といった意味になります。一旦意味がわかれば覚えやすい表現ですよね。皆さんの周りには(首に息がかかるぐらい)しつこく監視する上司や何度もしつこく聞いてくるお客さんなどいませんか?

 breathe down one’s neckの使い方の例は“I’m not going to take this project if you continue to breathe down my neck.”「あなたがしつこく監視し続けるのならこのプロジェクトは担当できません」や、“Stop breathing down necks of your children. You have to give them their space.”「子供たちにしつこくつきまとってはいけない。放っておきなさい」などです。

 では練習問題です。(答えは下)

1.日本語に訳すと?

“My boss is such a micromanager, breathing down my neck all the time.”

2.breathe down one’s neckを使って英語で言うと?

「そんなふうにしつこくされたら、仕事になりません」

加藤友朗(かとうともあき)
コロンビア大学医学部外科教授。東京大学薬学部、大阪大学医学部を卒業後渡米。世界初の多臓器摘出体外腫瘍切除手術を成功させ、ニューヨークのトップドクターとして世界中から集まる患者の命を救う。『ネイティブを動かすプレミアム英会話50』(新潮社)が発売中。

週刊新潮 2021年7月22日号掲載

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