夏の甲子園で観てみたいドラフト候補5人 一番の注目は高知「森木大智投手」

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 連日熱戦が続く夏の甲子園地方大会。今年は2年ぶりに本大会が開催されるわけだが、注目は最後の夏を迎えた3年生たちだ。本来なら3年間で5回ある甲子園行きのチャンスは、新型コロナの影響で、大きく減ってしまったからである。まだ1度も甲子園出場経験のない今年のドラフト候補選手の中で、聖地で観てみたい選手5人を紹介する。

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 1人目は高知の怪物右腕・森木大智である。中3夏に行われた軟式野球公式戦の四国大会決勝戦で史上最速の150キロを計測したことで一躍野球ファンから注目を浴びた。だが高知高校入学後の1年夏は決勝で県内最大のライバルである明徳義塾に1-4で敗退。春の選抜がかかった2年秋の四国大会も初戦で古豪・高松商(香川)に2-5で敗れ、甲子園出場を果たせていないのだ。

 森木の最大の魅力は身長184センチの長身から投げ下ろす最速154キロの直球だ。平均でも140キロ台後半をマークし、そこに切れ味鋭いスライダーとスプリット、カットボール、チェンジアップなどを交ぜる投球スタイルが武器である。

 真価が発揮されたのは7月3日に行われた西の横綱・大阪桐蔭との練習試合だろう。先発して7回を投げ被安打9の3失点も、11奪三振の力投をみせている。痛打はされたが、最速152キロの直球で相手打線を圧倒する場面のほうが目立った。特に2回から上位打線を3者連続空振り三振に仕留めたのは注目を集めた。この日はプロ12球団のスカウトが集結、あるスカウトは「フォームのバランスがいい。(上位は)間違いない」と太鼓判を押している。

 気迫あふれる投球スタイルも持ち味の本格派右腕にとって、県内最大の敵はやはり“常勝・明徳義塾”に他ならない。春の四国大会では6-1とリードした9回表無死満塁から登板すると1点を与えたがピンチを断ち、見事チームを優勝に導いた。この夏、再びこのライバルに打ち勝った先に憧れの甲子園が待っている。

 2人目も同じ四国のチームから。徳島の古豪・池田の篠原颯斗だ。最速149キロを誇る右腕で、地元ではレジェンド右腕の水野雄仁になぞらえて“阿波の金太郎2世”と称されている。12球団全てが視察を終えており、当の読売ジャイアンツ・水野スカウト部参与も「将来が楽しみ」と語る逸材である。

 篠原はこの夏の徳島大会、初戦阿南高専戦で高校入学後初の9回完封を達成した。4球団7人のスカウトが見守る前で被安打5、10奪三振の快投だった。続く2回戦では昨秋と今春の県大会を制覇した第1シード・鳴門との対戦。6月に行われた練習試合では5回で6失点し、チームも6-8で敗れていた強敵だった。この試合では6回表まで2点をリードされていたが、篠原は最速146キロをマークした直球で強打の鳴門打線相手に粘り強い投球を続ける。するとこの力投に打線が応え、6回裏に一挙4点を奪って逆転に成功。このリードを篠原が全力で守り、被安打10ながらも9回4失点。6-4で鳴門を撃破したのだった。この勝利で見事ベスト8入り。実に29年ぶりの夏の聖地が見えてきている。

 3人目は智弁和歌山のエース・中西聖輝である。和歌山といえば世代最強エースの呼び声も高い小園健太(市和歌山)が断然の存在感を発揮しているが、この中西もプロ注目の好投手。最速147キロの直球にスライダーやカーブ、チェンジアップなどの変化球を交える投球スタイルが特徴だ。甲子園常連校の智弁和歌山にあって1年春からベンチ入りし、その夏には甲子園出場を果たしているが、控えだったため登板機会はなく甲子園デビューを果たすことができなかった。最上級生となった2年秋以降では、秋の新人戦、秋の県大会、そして秋の近畿大会と小園擁する市和歌山の前に3連敗を喫した。

 だが4度目の対戦となった春の和歌山県大会決勝では攻略に成功し、7-1で快勝。中西は9回を110球1失点で完投勝ちをマークしている。このライバル対決で中西は自己最速を2キロ更新してもいる。

 夏の和歌山大会も名門対決となった初戦の箕島戦で8回を被安打6の7奪三振、失点2・自責点1と好投し、自らホームランを放つなど8-2で快勝。この試合を観戦したスカウトの1人からは「全体的に低めに球が集められている。パワー系でありながら変化球も多彩で柔らかさがある」との評価を受けている。11-0で5回コールド勝ちを収めた2回戦の星林戦も先発、3回を投げて打者10人から2三振を奪うノーヒットピッチングと貫禄をみせた。このまま行けばライバル小園の市和歌山とは早くて準決勝で対戦することとなる。

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