菅首相、記者会見で「ルールを守れ」と苛立ち全開 女性広報官も叱りつける見苦しさ

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暗黙の“ルール”とは

 会話が噛み合わないまま、まもなく囲みは解かれたが、去りゆく映像には、菅首相が小野日子内閣広報官を叱りつけているように見える様子がはっきり映っていた。相当ご立腹だった様子だ。

 だが、国民の多くがこの映像を見ていて、この記者がどんなルール違反を犯したか、意味がわからなかったであろう。

「いや、厳密にはルール違反なんてなかったですよ」

 こう答えるのは、官邸記者クラブの記者である。

「ぶらさがり会見は自由な場なので、そもそもルールなんてありません。指されてから答えなければならないこともなく、その場の流れで進んでいきます。もちろん、まず質問者は所属会社と名前を名乗る、などの慣例はあります。でも、彼は最初ちゃんと名乗っていましたよね」

 では、質問をかぶせたのがよくなかったのか。

「いや、そんなルールもありません。よくわからない答えだったら、聞き直す必要がありますから。一社が4つ5つ質問を続けるなんてこともたまにあります。内容も決して失礼なものではなかった。首相がはぐらかすような受け答えをしたから、聞き直したわけで問題ない」

 では、今回、菅首相は何を咎めたかったのだろうか。

「実は、連続して同じ記者が質問をした場合でも、一回ごとに所属会社と名前を名乗り直さないといけないという慣例があるのです。TBSラジオの記者は囲み会見に参加した経験が少なくて、そこがよく分かっていなかったのでしょう。彼もびっくりしていたと思いますよ」

 一般の感覚からすれば、同じ質問者が続けて質問するのに、いちいち改めて名乗らないといけないという“ルール”があること自体、違和感がある。

「昔はなかったんですが、菅総理になってから、暗黙のルールとして出来上がったんです。大勢の記者がいますから、後で、誰がどの質問をしたかわからなくなる時がある。ただ、確かに、総理があんなに怒りをあらわにするような話ではありませんよね。記者会見での評判がめっきり悪い菅総理ですが、実はエントランスでのぶらさがり会見は、菅総理になってからかなり増えている。以前の総理たちはほとんど素通りでしたから。今回の“事件”が尾を引かなければ良いのですが……」

 TBSラジオの記者が指摘したように、アメリカの女子体操代表選手が選手村を飛び出すなど、バブル方式は確かに問題が多い。開会式直前になってミュージシャンの小山田圭吾や絵本作家・のぶみ氏の降板などドタバタも続いている。それにしても、こんなつまらないことで噛み付くとは……。菅首相の苛立ちもいよいよ頂点に達したか。

デイリー新潮取材班

2021年7月22日掲載

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