禁錮7年求刑の飯塚幸三被告 メダリスト・内柴正人氏と同じ“勲章没収”の屈辱

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金メダリストが“前例”

 アテネと北京のオリンピックで、柔道の金メダリストになった内柴正人氏(43)は、紫綬褒章を2回、受勲している。

 ところが内柴氏は2011年、準強姦容疑で警視庁に逮捕された。14年には最高裁で上告が棄却され、懲役5年の実刑判決が確定した。その結果、紫綬褒章は2回分とも褫奪された。

「そもそも『瑞宝章』は公務員が対象の勲章ですから、渡し方も各省庁などに一任しているのが現状で、私どもは把握していないのです。褫奪も私どもが行うことは考えにくく、勲章を渡したところが没収も行うことになるのではないかと思います」(同・賞勲局)

 そこで経済産業省に取材を依頼し、「どうやって瑞宝章を渡しているか」を訊いた。

「コロナ禍以前は、基本的に大臣にお渡しをお願いしておりました。対象者も少なくないので、代表者を決めて渡していました。ただ、大臣は多忙なことが多いので、副大臣や政務官にお願いすることも多かったですね」

自宅で没収!?

 叙勲の対象者はOBが多い。高齢で、東京都に在住していない場合も珍しくない。

「地方にお住まいの方は、授与の機会に間に合わなくても、東京に向かう機会があれば、庁舎に寄ってもらうこともありました。お住まいの自治体に授与をお願いしたこともあります。また関係団体に席がある方は団体で授与してもらったりしていました。しかし、これもコロナ禍で変わりました。今は関係者がご自宅に届けているようです。大変に貴重なものなので、郵送は厳禁だからです」(同・経産省)

 郵送厳禁のルールは、没収にも当てはまる。実刑が確定した叙勲者の家に電話し、「勲章を返送してください」とは絶対に言えない。

「褫奪が必要な状況になりましたら、省にどんな資料が残っているか探します。詳細は申し上げられませんが、かつて経産省でも褫奪が行われたことはあったようです。交通事故の裁判に関連して、これまで勲章について取材依頼があったのは事実です。まだ何も決まっていませんが、私どもが没収に向かうのか、他の関係者に依頼するのか、ということになるのかもしれません」(同・経産省)

 経産省の職員なのかは分からないが、誰かが飯塚被告の自宅に向かい、瑞宝重光章を“没収”する可能性は高そうだ。

 必要な仕事とはいえ、想像してみると、なかなかの光景だ。「すまじきものは宮仕え」という格言も浮かんでくる。

デイリー新潮取材班

2021年7月20日掲載

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