優勝候補の米子松蔭“出場辞退”で批判殺到 コロナ禍で露呈した高野連の「機能不全」
多くの著名人が反応
2年ぶりの開催となった全国高校野球選手権。8月9日から甲子園で行われる本大会出場をかけた地方大会は全国各地で熱戦が続いている。7月18日には沖縄尚学が一番乗りで代表を勝ち取ったが、ここへ来てそれ以上の話題となる出来事が発生した。春の鳥取県大会優勝校で、この夏も優勝候補の一角に上げられていた米子松蔭が、学校関係者1名の新型コロナウイルス感染を理由に出場辞退を発表したのだ。
10日には、春夏合わせて39回の甲子園出場を誇る福井商が、野球部員に感染者が出たことから出場を辞退している。だが、米子松蔭の場合は、あくまで感染したのは学校関係者で、野球部員には感染者も濃厚接触者も確認されておらず、定められた時間までに保健所への確認の時間が間に合わなかったことから出場辞退に至ったという経緯がある。
この事態に元大阪府知事の橋下徹氏など多くの著名人が反応。伊木隆司・米子市長も試合が再調整されるように、各方面に働きかけると表明している。
米子松蔭は優勝候補の一角にも挙げられており、試合開始直前での出場辞退ということもあって大きな話題となっているが、神奈川でも城郷と藤沢工科の2校が感染拡大の影響から部活動が全面禁止となったことで、出場を辞退している。この2校は学校内に感染者が出たとは発表されておらず、あくまでも学校の判断と言われている。
保健所の確認が間に合わず……
各方面で、学校や日本高野連、鳥取県高野連に対して批判の声も多い。日本高野連は、6月に地方大会の感染防止対策ガイドラインを作成して、各都道府県の高野連に配布しているが、統一したルールは設けていない。
このガイドラインをもとに、各都道府県の高野連でそれぞれ判断し、地方大会を実施しているというのが現状である。観客や応援の有無がそれぞれの地方大会によって異なるのは、そのためだ。
また、日本高野連の配布したガイドラインには「当該校は感染者、感染が疑われる者の人数や行動歴、保健所の指示を踏まえ、当該校校長が参加の可否を判断する」という文言があり、大会への参加自体は各校の校長判断となっている。
米子松蔭の場合は、試合前のメンバー交換が17日の朝8時10分と決められており、保健所の確認がその規定の時間に間に合わなかったことから最終的に出場辞退という判断となった。
日本高野連は、ガイドラインこそ作成したものの、判断は各都道府県の高野連に一任し、また各校長が判断すると言いながらも不測の事態に柔軟な対応をとらなかったことが、今回のような騒動に発展した原因と言えるだろう。
日本高野連と各都道府県高野連は、別組織であることが各地方大会の運営においてプラスになっている面も確かにあるだろう。しかし、一昨年、新潟県高野連が独自の球数制限を導入しようとした際に、日本高野連からストップがかかるという事態もあり、このあたりの関係性は何とも微妙と言わざるを得ない。
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