ビートたけし、恩人「バンダイ」に「6738万円を支払え」 著作権を巡り泥沼訴訟に

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晩節を汚す

 たけしの古い知人は、

「本人は映画製作に当たり、作品のことしか考えていなかった。金策はすべて森さん。苦労したのは『オフィス北野』でした。それなのに今になって“オイラに著作権”とはおかしな話」

 との感想を漏らすが、この裁きを裁判官はどう下すのか。勝敗の行方はまだ見えないが、図らずも明らかになったのは、たけしの金への執念である。

 冒頭のようにこれまでたけしは金への執着を戒めてきた。同じ書にもある。

〈(人間は)生きていくには金が要る。俺は金が欲しいだなんて、そんな当たり前のことを言うのは、俺はウンコするのが大好きだと言うのと同じというわけだ。人間なんてものはどんなに格好をつけていても、一皮剥いたらいろんな欲望の塊みたいなものだ。でも、だからこそ、その一皮のプライドを大事にしなきゃいけない。それが文化というものだろう〉

 言葉通り、かつてのたけしは、金払いの良さで有名。財布には常に現金が100万円は入れてあり、自分の奢りで飲み歩く。映画撮影の時には、ポチ袋に入れた万札をスタッフに配るのが流儀だった。

 が、この係争では、「カネ」「カネ」ばかり。尾籠な話だが、ご本人の発言を元にすれば、今のたけしは、ウンコが大好きと連呼し、ウンコをさせろと裁判官に訴えているということか。

「やはり、あの『愛人妻』に幻惑されたのか、と勘繰ってしまいますよね」

 とは、前出の古い知人。

 現在の夫人と出会った8年前以降、たけしの金銭感覚が変わってしまったのは、本誌(「週刊新潮」)で何度も報じた通りだ。曰く、「北野」の株や社員の給料を気にするようになった。ギャラの自分の取り分の値上げを主張した。ヘアメイクやスタイリストに報酬が高いといちゃもんを付けた……。それらが引き金となり、長年連れ添った幹子前夫人や森社長はじめ、多くの人を切り捨てたり、失ったりしたが、その振る舞いはあまり変わっていないようで、

「つい先日もこんな騒動がありました」

 とたけし軍団の関係者は声を潜めて言う。

「水道橋博士が『たけし軍団Tシャツ』を作り、自分のオンラインストアで売っていた。そこに『T.Nゴン』から連絡が入り、『たけし』の名を使用するのは、権利関係の問題があるので控えてくれと言われた。博士は製作をやめ、web上にアップされていた、そのシャツを着て受けた取材の写真まで差し替えてしまったのです」

 とりわけ権利関係に血眼なようだが、このままならいずれ「たけし軍団」の名を使うな、ともなりかねない。そんな折のこの訴訟……。

「たけしさんは変わってしまった」(古い友人)と言われるのも当然なのだ。

 当のたけしサイドに訴訟について尋ねてみると、

「訴訟係属中のため回答を控えさせていただきます」

 バンダイナムコアーツも、

「北野監督とは第1作以来のお付き合いであり今回のような係争に発展いたしましたことを大変遺憾に思っています」

 としつつ、

「引き続き裁判の中で弊社の主張をしてまいります」

 と述べるのみであった。

 終わりに、

「たけしさん、そんなことになってしまったんだな。裁判なんて最もたけしさんらしくないよ」

 と言うのは、演芸評論家の吉川潮氏だ。吉川氏はたけしもメンバーであった故・立川談志の落語「立川流」の元顧問。たけしとも親交があったという。

「カネ、カネと言う人ではなかった。一体どうなってしまったのか。僕らにとってスターだった人が、最後にそんな無粋なことをしてほしくないな。晩節を汚すことになるよ」

 現在、そのたけしは、新作映画の製作の真最中。自らの歴史小説を原作とした時代劇で、周囲には「最後の映画」と述べているとか。

 まさに人生の集大成を迎えつつあるたけしだが、しかし、その裏でのこの「銭闘」。何だか哀しい話である。

週刊新潮 2021年7月8日号掲載

特集「『HANA-BI』も『座頭市』もオイラに著作権 あの『愛人妻』に幻惑され無理筋要求 哀れな殿『ビートたけし』が恩人『バンダイ』を訴えた『アウトレイジ』な銭闘裁判」より

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