松山英樹の恩師、8千万円の接待費で刑事告発 松山のスポンサーにも接待を繰り返していた
マスターズ優勝という偉業に水を差す騒動である。松山英樹選手の恩師である東北福祉大ゴルフ部の阿部靖彦監督(59)が1年で4400万円超の交際費を使い、刑事告発されたことを先般、本誌(「週刊新潮」)は報じたが、さらに内部資料を入手。湯水の如くカネを使って繰り返された接待のお相手が判明した。
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発端は、2019年10月に大学に入った税務調査だった。本誌が今年6月10日号で報じた内容を簡単に紹介すると、そこで阿部監督の交際費が突出して高いと分かり、学内の調査では15年度に4400万円超の接待費を使っていたことが発覚。中には同席していない人物の名前が記載されている伝票もあったという。
そのため、問題視した大学の元教員らが“大学の経理を欺いた”と宮城県警に阿部監督を詐欺罪で刑事告発。仙台北署が今年3月に書類送検し、現在は検察での捜査の最中なのだ。
大学関係者が言う。
「新潮の報道後に開かれた教職員向けの学内説明会では、学長から“大学知名度の向上、入学志願者の確保、学生の就職先確保のための正当な支出だった”旨が説明されました。すると出席していた教授らから“ここまで問題になったのだから、阿部さんは辞めるべきだ”と異論が噴出しました」
本誌は取材を重ね14年10月から16年9月まで阿部監督が支出した交際費の一覧などの内部資料を入手。資料を精査すると、一大学職員とは思えない「常軌を逸した」カネの使い方が浮き彫りになった。
国分町のクラブへ…
例えば、15年4月16日。この日は東北福祉大の当時の理事長や運営母体である曹洞宗の宗務庁関係者との会合で、1軒目は銀座の高級クラブで11万3520円、2軒目のクラブで20万6870円、さらにもう一軒銀座のクラブにはしごし、19万6870円を支出している。3軒で合計50万円以上。このような会合が長期にわたり、連日のように開かれているのだ。
資料に記される阿部監督の交際費は、上記の2年分でなんと8千万円以上。そのうち約3600万円は“身内”である僧侶など宗門関係者への接待だった。前出の大学関係者が解説する。
「阿部監督は当時総務部長の立場でしたが、大学経営の実権を握っていた学長や副学長を追い落とそうとしていたんです。大学の理事の多くは曹洞宗のお坊さんなので、彼らを含めた曹洞宗関係者へ接待を繰り返し、学長と副学長を交代させるように仕向けた。結果、19年に二人は辞め、阿部監督は昨春に学長室長に昇進。今年から法人本部統括部長にも就任し、完全に学内を掌握しているのです」
まるで“社内”接待で役員へと昇りつめる出世頭――。
阿部監督は世界的ゴルファーの恩師とは到底思えぬ裏の顔を持ち合わせていたというわけなのだ。さらに、「教え子」に対しても……。
先の資料には16年4月13日に〈卒業生(松山英樹)他関係者との懇親〉として、1軒目に銀座の懐石料理、2軒目に高級クラブへ行き、計約17万円を支払っていたことが記されている。また、翌々日の15日には同じく松山選手と仙台の繁華街・国分町のクラブなど2軒を訪れている。〆て15万3千円也。
「松山選手の契約スポンサーであるダンロップや所属するマネジメント会社のIMG、マスターズを中継するTBSなど、関連するメーカーや企業とも同様の接待を行っていました。15年度には400万円近くもの額に上っています」(同)
なぜ松山選手を育てたゴルフ部の監督が彼のスポンサーを接待する必要があるのだろうか。これらの事実を阿部監督に尋ねようとすると、
「直接お話はできません」
東北福祉大の広報は、
「本学職員の交際費がおよそ8千万円に及ぶ事実はありません」
と正当性を主張するが、別の大学関係者がこう囁く。
「今後、検察の捜査で阿部監督が不起訴になったとしても、告発者らは検察審査会に対し、不服申立をする予定だそうです」