警視庁捜査で分かった老舗「かっぱ寿司」の落日 「スシロー」「くら寿司」の二強時代へ
低価格路線がヒット
ひょっとすると世代によって、かっぱ寿司のイメージは異なるかもしれない。比較的、若い世代にとっては、魅力的ではないようだ。だが、少なくとも40代以上の消費者なら、かっぱ寿司の全盛期をご記憶だろう。
1994年、日本農業新聞は「カッパ・クリエイト、株式を店頭公開、全店にすしロボット」との記事を掲載した。
「記事には回転寿司の『最大手』と書かれていました。その後マスコミには、かっぱ寿司が快進撃を続けているという記事が何度も掲載されます。特に2000年代に入ると日本経済はデフレに苦しみます。かっぱ寿司は『1皿の価格を100円に統一する』という低価格路線で消費者の人気を獲得します」(前出の記者)
時事通信は2003年7月、「カッパ・クリエ、今期連結最終益は45億3000万円=5期連続最高益」との記事を配信。同年11月には東証1部に上場を果たした。かっぱ寿司が絶好調だった時代だと言える。
ところが、ここに意外な会社が「回転寿司の業界再編」を唱える。先に見た、はま寿司を運営するゼンショーホールディングスだ。
目前に迫った“統一”
「かっぱ寿司は上場後、無理な出店がたたって経営が悪化します。するとゼンショーが07年にカッパクリエイトの株を31%購入し、グループ会社化します。更にゼンショーはスシローの株も27%取得します。かっぱ寿司とスシロー、そしてはま寿司が、ゼンショーの主導で一気に合併する可能性が浮上したのです」(前出の関係者)
ゼンショーホールディングスは、牛丼チェーン「すき家」の運営で知られる。創業者で会長の小川賢太郎氏(72)は、東大に入りながら学生運動で中退。その後、中小企業診断士の資格を取得し、倒産する前の旧吉野家に入社したという経歴の持ち主だ。
「小川会長は当時、『自分は回転寿司業界を統一するために、はま寿司を設立したんだ』と説明していました。ゼンショーが業界におけるガリバー企業を構築し、一強時代を作り出すのかと、外食産業全体が注視していました」(同・関係者)
だが、小川会長のプランは一気にほころびを見せた。強引な進め方にスシローが反発し、外資のファンドと組んで防衛策を講じたのだ。
「この時はまだ、かっぱ寿司が1位で、スシローが2位でした。そして合併騒ぎがマスコミを賑わせている間に、くら寿司が猛烈な勢いで業績を伸ばし、この頃の紙面には『業界3位』と書かれるようになりました。徹底した顧客情報の分析と、タッチパネル式の注文など斬新なアイディアで経営を進め、注目を集めたのです」(前出の記者)
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