大谷翔平、最大の敵は“デッドボール” 「被死球率」をMLB本塁打王と比較すると──

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増加率1・58倍

 一体、シーズン終了時には何本に達するのか──。日本時間の7月8日と10日、エンジェルスの大谷翔平(27)は、2戦連続となる32号・33号ホームランを放った。

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 このうち、8日の対レッドソックス戦で打った32号ソロホームランは、元ヤンキースの松井秀喜(47)が2004年に記録した日本選手最多本塁打を超えるというメモリアルアーチだった。

 今シーズン、大谷に“死角”があるようには思えない、そんなファンが圧倒的多数を占めるだろう。

 だが、しかし、である。実は不安材料があるのだ。

 今シーズン、打者の大谷がダメージを受けた“被死球数”は増加の一途を辿っている。そして専門家は「今後も増えることはあっても、減ることはない」と断言するのだ。

 5月3日の対マリナーズ戦、大谷は「2番・DH」でスタメン出場した。ところが初回の第1打席でボールが右肘を直撃した。相当に痛かったらしく、大声で叫んで悶絶。スポーツ紙の電子版などが、すぐに記事を配信した。

 ファンとしては心配になる場面だろう。おまけに大谷は翌日、投手として先発予定だった。結局、翌日の試合は登板を回避。改めて大谷にとって死球がリスクになることを示した形になった。

大谷と死球の意外な関係

 プロ野球の担当記者は「実は大谷選手の被死球を調べてみると、興味深いデータが浮き彫りになるんです」と言う。

 大谷は2013年から17年まで北海道日本ハムファイターズでプレーした。そしてデータを調べると、5シーズンでたった4回しか死球を受けていないのだ。1シーズン1回以下だから、これは少ないと言えるだろう。

「はっきりとした原因は分かりませんが、当時の大谷選手はまさに日本球界の“宝”でした。もし死球で大けがでもさせたら、投手はファンの怒りを買い、マスコミからも叩かれる可能性があります」(同・記者)

 ひょっとすると日本人の投手は、打者の大谷に遠慮していたのではないか──記者氏は、そんなことを想像してしまうというのだ。

 日ハムで大谷は合計1170回の打席に立った。死球は4回のため、頻度を計算してみると「292・5打席に1回」の割合でデットボールを受けたことになる。

 ところが大谷がメジャーリーグに移籍してから、死球の頻度が増しているという。

アメリカでは増加

「大谷選手は2018年からエンジェルスでプレーしています。7月6日現在で、被死球の合計数は7回。特に今シーズンは既に3回もデットボールを当てられています。これまでの最高は日米共に1シーズンに2回ですから、大谷は今シーズンで“被死球数”の自己キャリアハイを達成することが決定しました」(同・記者)

 エンジェルスで、これまで大谷は1289回、打席に立った。うち被死球は7回のため、これも頻度を計算してみると「184・1打席に1回」の割合となる。

 日ハム時代に比べると約1・58倍と相当な増加率だ。おまけにオールスター前の前半戦でこれだけ増えたのだ。今後も二刀流でフル出場すれば、自動的に死球に遭遇する確率は上がる。今シーズンが終了すると一体、大谷の“被死球数”はいくつになるのだろうか。

 そもそも一般的なバッターの被死球数、特にホームランバッターの被死球数は、どれくらいが平均値なのだろうか。

 そこで日米の生涯ホームラン数のランキングを参考にしながら、「強打者の平均被死球数と頻度」を調べてみることにする。

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