「ロッテHD」社長に就いた「玉塚元一」 「ファストリ」「ローソン」では実績残せず 三度目の正直なるか
スキー仲間
泥沼のお家騒動が続く「ロッテグループ」。その中核である「ロッテHD(ホールディングス)」が6月末の株主総会で社長交代に踏み切った。創業一族の重光昭夫会長兼社長が会長職に専念、鳴り物入りで玉塚元一氏が新社長に就任したのだ。「プロ経営者」として知られる玉塚氏は、山積する難題をクリアできるだろうか。
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玉塚氏は慶応大学を卒業後、旭硝子に入社し、米国留学でMBA(経営学修士)を取得。その後、日本IBMを経て、「ファーストリテイリング」や「ローソン」でトップを務めたが、ともにわずか3年で退場せざるを得なくなった。
ともに、企業側が求める実績を出せなかったとの見方がもっぱらである。ローソンを去る間際には、「M資金詐欺」と呼ばれるインチキ話に引っ掛かりそうにもなった。
プロ経営者の看板に傷がついた玉塚氏が、今回、ロッテHDのトップに就くことになったのは、昭夫氏と「スキー仲間」ゆえの「お友だち人事」という。
1012億円もの大赤字
玉塚氏はファストリ退職後、企業再生コンサルタント会社「リヴァンプ」を設立。そのリヴァンプが最初に手掛けた案件が、赤字体質から脱却できないロッテリアだった。以来、昭夫氏との親密な関係が続いていたのである。
これまでは昭夫氏が日韓両国のロッテグループを率いていたが、今後は、韓国を昭夫氏、日本を玉塚氏という役割分担を図ると見られる。だが、非上場のロッテHDが株主総会に先駆けて株主に公開した「連結計算書類」によれば、20年度の連結売上高は前期から1兆2394億円減の5兆498億円で、最終損益は1012億円もの大赤字。
この赤字を穴埋めするためにも、玉塚氏には、ロッテHDの100%子会社である「ロッテ」の株式上場に道筋をつけることが期待されている。主に日本で菓子事業を手掛けるロッテの上場は、グループにとっての悲願なのだ。
ところが、創業者である故・重光武雄氏の長男、宏之氏がロッテHD取締役を次男の昭夫氏に解任された14年以来、骨肉の兄弟喧嘩が続く。この関係が改善されない限り、上場の悲願も果たせそうにないという。
これらの難題を解決できれば、玉塚氏はプロ経営者として初の実績を残せるのだが。