メガバンクも参戦「ファクタリング」の暴利年1000%! 「工事代金」や「給料」で訴訟沙汰に
急拡大した市場規模
実質的に「高利貸し」と変わらないのに、限度を超えた荒稼ぎも可能なビジネスモデル「ファクタリング」。企業間における「手形取引」の縮小とともに台頭し、「みずほ」や「三菱UFJ」などメガバンクも関連会社で進出した。新規業者の参入も相次いだが、少なからずトラブルも生じている。
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ファクタリングは貸金業法の枠の外に置かれ、民法466条1項に基づくビジネスモデルである。1995年には1600億円に過ぎなかった市場規模は2016年には5兆円へと急拡大。今後も、市場規模が倍々ゲームで拡大するのは間違いないが、そもそもファクタリングとは如何なるものか。
医療業界で行われる「診療報酬ファクタリング」を例に示せば、患者を診察した病院に国保、社保から診療報酬が支払われるのは2カ月後。病院がそれまで待てずに、銀行融資の対象外である看護師の人件費などを捻出しようとしたら、ファクタリング業者に「診療報酬債権」の2~20%程度の「手数料」を支払い、その債権を売却する。
一方のファクタリング業者は2カ月経てば、国保、社保から診療報酬全額を受け取れる仕組みだ。貸金なら高金利に当て嵌まるが、ほぼ取りっぱぐれのない回収先であるため、手数料は低めに抑えられているのだとか。
集団訴訟も
ファクタリングが普及しているのは建設業界。工事を受注した建設業者は、請負代金の3分の1を着手金として受け取るのが慣例。その着手金を人件費や資材購入費に充て、当面の工事を進めるが、天候不順などで工事が遅れれば資金不足に陥るのは避けられない。
その解決策として、工事の「請負債権」をファクタリング業者に売却し、資金繰りを図るのだが、足元を見られた建設業者がカモにされ、業者間で不当利得返還請求訴訟が生じているのだ。
さらには、「給料ファクタリング」と称する違法な闇金も。建前上の構図は、給料ファクタリング業者が労働者の「賃金債権」を買い取り、給料日に回収を図るというものだ。
20年3月、金融庁は、給料ファクタリングは貸金であるとの見解を示した。つまり貸金業登録のない給料ファクタリング業者は闇金となるのだが、年利1000%以上の暴利もまかり通っているのが現実。東京や大阪などでは給料ファクタリング業者に対し、不当利得の返還を求める集団訴訟も始まっている。
「週刊新潮」2020年7月23日号「MONEY」欄の有料版では、工事請負債権や給料ファクタリングに関する訴訟について詳報する。