巨人、炭谷放出で見返りなしも…「小林誠司」に到来した“復活へのラストチャンス”

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リードと守備に全幅の信頼

 6月30日の広島戦で、山口は野間峻祥のホームラン1本に泣いて負け投手となったが、8回ワンアウトまでノーヒットという圧巻のピッチングを見せた。その裏には、小林の巧みなリードがあったことは間違いない。山口が日本に復帰してから安定した投球を見せているのも、小林に対する安心感から来ているからだろう。

 現在、調子を落として今季4度目の登録抹消となっている菅野もまた、以前から小林のリードと守備については全幅の信頼を置いていると発言している。そういう意味でも、菅野の良さを最も引き出せる捕手として、その復活には欠かせない存在と言えそうだ。

 毎年のように、他球団の主力選手をFAやトレードで獲得している巨人であるが、逆に2017年オフには当時サードのレギュラーだった村田修一を思い切って自由契約としたことで、岡本和真のブレイクに繋げている。小林は、当時の岡本とは違って、既に実績のある選手であるが、余剰戦力をあえて放出することで、他の選手の出場機会を増やすことができるという点では、同じ効果が望めるだろう。

 ただし、今年で32歳という年齢を考えると、小林にとっては、これが“ラストチャンス”であるとも言える。このチャンスを逃すことなく、再びリーグを代表する捕手に返り咲くことができるのか。今後のプレーぶりに注目したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮取材班編集

2021年7月6日掲載

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