巨人、炭谷放出で見返りなしも…「小林誠司」に到来した“復活へのラストチャンス”
楽天は7月4日、巨人から金銭トレードで炭谷銀仁朗を獲得したと発表した。ちょうどこの日に、筆者は「広島『堂林翔太』も余剰戦力に…活発化するトレード、次の“狙い目”を探る!」というタイトルで、今後、トレードが活性化する可能性が高いという記事を執筆し、「デイリー新潮」で公開されたばかりだったが、早速パ・リーグ制覇を狙う楽天が動いた格好だ。
昨年はわずか10試合
楽天は、プロ入り3年目の太田光が正捕手を務めている。リーグ2位の盗塁阻止率をマークしているが、不動のレギュラーとしては攻守ともにまだまだ物足りなさが残る。太田以外の捕手は、下妻貴寛や足立祐一、昨シーズン途中に巨人から移籍した田中貴也などがいるものの、全体的に手薄な感は否めない。それを考えると、高い守備力とパ・リーグでも、豊富な経験のある炭谷の加入は大きなプラスとなることは間違いないだろう。
その一方で、気になるのは、選手の見返りを求めなかった巨人だが、炭谷が抜けたことで逆にチームが活性化することも十分に考えられる。そのキーマンとなるのは、もちろん同じ捕手の小林誠司である。
昨年は開幕直後に死球を受けて骨折し、長期離脱を余儀なくされたこともあり一軍出場はキャリア最低となるわずか10試合。今年も開幕一軍こそつかんだが、調子が上がらずに長く二軍暮らしが続いていた。
ただ、炭谷が移籍するとなると、小林の“立ち位置”は一気に変わってくる。2016年から4年連続でリーグトップの盗塁阻止率をマークしており、守備に関しては間違いなく球界でもトップクラスの実力者だ。
打撃は長年課題と言われているが、出塁率はそこまで低くはなく、捕手らしい読みで一発を放つだけの力も備えている。他の球団であれば、正捕手を務めている可能性は高い。
メンタル面が安定
そして、炭谷の移籍によって最も安定するのは、小林のメンタル面ではないだろうか。昨年の日本シリーズで出場登録からも外れてからは、「トレード候補」として小林の名前が盛んに上がり、その可能性に言及した記事の数は溢れていた。
大城、炭谷に並んで、若手の有望株である岸田行倫も控えているチーム事情を考えると、小林の処遇については球団内の検討事項に上がっていたはずである。明日はどうなるか分からないプロの世界とはいえ、この半年以上は苦しい心情でプレーしていたことは想像に難くない。
ただ、今回の炭谷の退団によって、小林が直近でトレードされる可能性は限りなくゼロに近くなったといえる。安心してプレーできるようになることで、小林のパフォーマンスが上がることも十分に考えられるだろう。
そんな小林の大きな仕事となるのが、エースの菅野智之と今季途中から復帰した山口俊の再生である。今シーズン、ここまで小林がスタメン出場したのは5試合で、その時の先発投手は菅野3試合、山口2試合となっている(7月4日試合終了時点)。今後もこの2人とバッテリーを組む可能性が高い。
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