立民「レスラー議員」が大分市議会を提訴 8年間着用拒否で慰謝料500万円の根拠

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 覆面レスラーで大分市議のスカルリーパー・エイジ氏(立憲民主党=52)が、市議会のHPや議会だよりに“覆面写真”を掲載してもらえなかったとして、6月30日に市議会を提訴した。2013年の初当選以来8年間にわたる覆面拒否で精神的苦痛を受けたとして、500万円を求める損害賠償請求である。本人に話を聞いた。

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 エイジ市議は、初当選時から覆面姿での議場や委員会室の出席を申し入れてきたが、「議場では帽子や杖などを着用、携帯してはならない」という規則を理由に、議会はこれを認めてこなかったという。市議会のホームページや広報誌についても同様の対応で、これまで議員名簿のエイジ市議の写真は空白になっていた。

覆面拒否は大分市だけ

「市議会の議場や委員会で覆面着用を認めないのは、大分市だけなんです」

 と語るのは、エイジ市議である。引き合いに出すのは3人の覆面レスラー議員――元岩手県議会議員のザ・グレートサスケ(みちのくプロレス所属)、大阪府和泉市議会議員のスペル・デルフィン(海鮮プロレス所属)、長野県長野市議員のグレート☆無茶(信州プロレス所属)だ。

「3人の覆面議員は、覆面を着用して議場や委員会に出席しています。勿論、ホームページにも覆面写真が掲載されています。帽子が駄目だから、覆面も駄目というのはナンセンス。覆面は帽子じゃないんですから」

 なぜ、そこまで覆面にこだわるのか。

「議員は名前と顔、言葉、行動が売りとなっています。そのうちの一つでも欠けてはいけないのです。覆面を着けて選挙に出て当選したわけですから、議場で覆面を取ったら誰だかわからなくなります」

 エイジ市議は、2013年に初当選し、現在3期目である。

「2期目は最下位での当選でしたが、3期目となる今年2月の選挙では、獲得票が20%も伸びました。覆面議員なんて得体の知れないと思っている人もいるでしょう。でも、覆面を被ってけしからんというのなら、3期も当選しませんよ。議員活動は精力的に行っていますから、それが評価されたのだと思います」

 実際、ペットの殺処分を防ぐため市議会に動物愛護施設の建設を要望していたエイジ議員の活動は、2019年2月に「おおいた動物愛護センター」をオープンさせるという形で実を結んでいる。

「今年3月、議長に改めて覆面の着用を認めて欲しいと訴えました。でもやはり認めてくれなかった。それで、『今後は代理人を立てて争うことになりますよ』と伝えたのです」

前代未聞の裁判

 まず4月26日、ホームページや広報誌に覆面写真の掲載を求める仮処分を大分地裁に申し立てた。

「3回審尋を行い、裁判官が和解を提案しました。ところが、市議会側は和解を一方的に拒否。これでは駄目だと思い、仮処分を取り下げ、本裁判で争うことにしました」

 そして、6月30日の提訴となったわけである。

「仮処分の時、裁判所には覆面で入りました。一応、係の人に『覆面で大丈夫ですか』と聞くと、『構いません』と。裁判所は許されるのに、なぜ議場や委員会室では覆面は駄目なのか、法的に違反ではないと問いたい。8年間ホームページに写真が掲載されず空白となっているのは、“差別”ですよ」

 請求額500万円の根拠については、

「覆面レスラーにとって、覆面を脱ぐのは最大の屈辱です。8年間、その苦痛を味わってきたわけですから、本来ならもっと高くても良かったのです。でも、お金が欲しいわけではないので……。ただ、10万円の賠償請求だと、おまえの気持ちはその程度なのかと言われそうなので、500万円くらいが妥当かなと思いました。覆面のために損害賠償までするのか、という意見もあるでしょうが、私は自分の信念を貫きたい」

 それにしても、なぜ市議会は覆面を拒否するのだろう。

「他の自治体はOKなのに、大分市議会は『品位、議員としての自覚』を拒否の理由としています。意味がわかりません。日頃、議会で眠っている人から言われたくないですね。覆面を巡って争うなんて、前代未聞の裁判になりそうです。そりゃあ、私だって家に居る時や家族と旅行する時は覆面を脱ぎますよ。でも、議場や委員会以外では、ずっと覆面を着けて過ごしています。時々、国会議員と面談するために永田町の衆議院議員会館を訪れますが、その時だって覆面をつけている。面談の前に、一応覆面で行きますとお伝えしています」

デイリー新潮取材班

2021年7月6日掲載

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