横浜市長選、“反カジノ”が勝利で菅総理がトクする理由 中華系企業の排除によるメリット

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 8月22日に投開票が行われる横浜市長選挙。自民党が現職の林文子市長を支援しないと表明して以来、注目が集まっていた。

 そんな折、6月19日に突如、出馬が報じられたのは国家公安委員長、小此木八郎衆院議員(56)だ。

 そもそも、現職閣僚が市長選に立候補すること自体が異例中の異例。さらに、小此木氏が“カジノ反対”の意向と伝えられ、永田町では臆説が飛び交った。

「横浜のカジノといえば、菅義偉総理自らが旗振り役となって、林市長のもとで進めてきた政策です。小此木氏は昨年9月の総裁選で菅陣営の選対本部長を務めた側近ですし、菅総理もろともカジノ反対に舵を切ったのかと」(政治部記者)

 一説には、カジノ反対論者である“ハマのドン”こと藤木幸夫・藤木企業会長の影響も囁かれたが、

「仮に小此木氏がカジノ反対で選挙を戦ったとしても、菅総理にとって都合の良い方に転ぶ可能性すらある」(IR関係者)

 横浜では、5月31日に、候補となるIR業者としてメルコリゾーツ&エンターテインメントとゲンティン・シンガポールの2社に絞り込んだばかり。“反カジノ”が菅氏のプラスになるとは不思議だが、そのカラクリをこのIR関係者が解き明かす。

「3年前、安倍政権下でIR整備法が成立しましたが、これは、トランプ前米大統領の支援者であったIR企業を誘致し、米国に恩を売ることが最大の目的でした。実際、横浜もトランプに近い『ラスベガス・サンズ』が有力視されていた」(同)

 ところが、サンズはコロナ禍での収益悪化と厳しすぎる日本のIR規制に嫌気が差し、昨年、日本進出の見送りを表明。

「結果、横浜ではメルコとゲンティンが残ったのですが、メルコの本社は香港ですし、ゲンティンも中国人がマレーシアで創業した華僑資本なんです。折からの米中対立のなか、総理のお膝元である横浜のカジノ企業が中華系というのも考えモノ。カジノでは生体認証も行われますし、資産額などデリケートな個人情報も扱われます。そうしたデータを彼らに扱わせてしまっていいのか」(同)

 つまり、経済安全保障の観点からは、反カジノの気運に乗じて中華系の企業を排除する方が、よほど国益に適っているというわけ。

 一方、サンズの見送りは、日本にさらなる規制緩和を求めるサインともいわれ、

「彼らは条件さえ合えば再エントリーするはず」(同)

 奥の深い市長選。

週刊新潮 2021年7月1日号掲載

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