自民党に女性局宣伝カーが登場 導入の経緯と役割は?

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 男女平等の実現を目指すにも、方途はもちろん簡単ではない。A案にもB案にも理屈はあるが、両案を並べると「?」となることも。

 当世ニュースで流行りの用語「クオータ制」は政治や行政、企業など各界の幹部ポストに女性の定員枠を設けようとするものだが、この「定員枠」がけしからんという議論もあるそうだからややこしい。昨今、問題となっているのは都立高校入試である。

「都立高の全日制普通科では男女別定員制が設定されています。例えば男子50名、女子50名の募集となったりしているわけですが……」

 とは、都立高の教員らでつくる「東京ジェンダー平等研究会」のメンバーだ。

「しかし、現実にはほとんどの入試で女子の平均点のほうが高く、男子の合格点を上回るのに不合格とされる女子がいるんです。定員制は全国で東京都だけのもの。私たちはこの制度の段階的な廃止を都に求めていこうと考えています」

 なるほど、真に実力主義を目指すなら性別の定員など設けていては枷になるだろう。定員制か実力制か。比べるほどに難しいが、どのみち、男性はいずれ女性に席を譲ることを覚悟するほかなさそうだ。

 ところが、そのどちらでもない、あさっての方角を向いたアイデアを打ち出したのは自民党だ。同党の議連「女性議員飛躍の会」は「選挙での一定割合の女性候補擁立」や「党4役への女性登用」などを求める提言を行ってきた。これを受けて二階俊博幹事長は党所属の衆参女性議員と数次の懇談会を開催。その結果、自民党女性局専用宣伝カーの導入が決まったのだった。

 自民党女性局に訊くと、

「懇談会で女性議員から“女性活躍に関する党の象徴となるようなものが何かほしい”という意見があり、幹事長のほうから宣伝カーが発案されました。今年は選挙が多い年ですので、街宣車の発想が出たのではないでしょうか」

 自民党の街宣車としては「あさかぜ号」と呼ばれるものがすでにある。屋根に自民党と青字で書いた看板をのせ、車体には緑のライン。一方、女性局の車は自民党の文字がピンク。車体にもピンクのリボン柄。

「女性が中心の集会に向かう際、男性に使っていただく可能性もありますよ。選挙以外にもさまざまな活動に利用していく予定です」(同)

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