都議選応援で大人気「安倍前首相」 総選挙後に「菅退陣」で再々登板も現実味
総裁選のボーダーラインと「ネクスト菅」
ワクチン接種が進み、東京オリンピック・パラリンピックでの熱狂に国民の目を釘付けにすれば、これまでの失政への冷たい視線を和らぐだろう。そこで解散総選挙に持ち込めば自民党総裁選はナシになって、晴れて本格政権に持ち込める……。そんな青写真を描くのが菅義偉首相だが、総選挙で議席をかなり減らせば総辞職は不可避となって総裁選への出馬を余儀なくされる。永田町ではそのボーダーラインと「ネクスト菅」を探る動きが始まっており、有力な候補として安倍晋三前首相の名が上がり始めている。
「9月9日に臨時国会を召集して冒頭で衆院を解散、投開票は10月3日になるとか、9月16日解散で10月10日投開票といったスケジュールが取りざたされています。いずれにせよ、自民党総裁選前のタイミングになるはずです」
と政治部デスク。
「現在の自公の勢力は306。選挙でそれ以上議席数を伸ばすことはまずできないでしょうが、勝敗ラインとして『30減』までは許容されるのではないかという見方が出ています。これは、衆議院のすべての常任委員会で委員長ポストを独占し、かつ各委員会で過半数の委員を与党が確保できる状態を指す「絶対安定多数」のレベルにあります。ただ、これが『35減』になると、“菅さんでいいのか、続けさせるべきではない?”といった声が上がる可能性があります。となると、菅政権は退陣し、自民党総裁選が始まることになります」
岸田氏の不人気
総裁選は国政選挙と違って、金銭の授受を取り締まる法律が厳密にはないから、札束が飛び交う「仁義なき戦い」だ。いささか古いたとえになるが、総裁選は候補2派からカネをもらう議員が「ニッカ」、3重取りは「サントリー」、全陣営からの場合は「オールドパー」と呼ばれるなど、「ザ・金権選挙」となってきた。現代でもカネの部分はともかく、派閥の論理むき出しの「はないちもんめ」「仲間外れ」が平然と行われる。
ここからは、菅首相が総選挙で勝敗ラインを勝ち取れずに退陣を表明し、後継候補を総裁選で選ぶことになったと仮定して話を進めよう。現時点での各派閥勢力は以下の通りだ。
・細田派96 派閥ボス:細田博之元官房長官
・麻生派55 同:麻生太郎財務相
・竹下派52 同:竹下亘元総務会長
・岸田派47 同:岸田文雄元政調会長
・二階派47 同:不在
・石破派17 同:不在
・石原派10 同:石原伸晃元幹事長
・無派閥63
・計335
「総裁選には地方の声をより多く盛り込む選挙のやり方もありますが、今回はそれを排除し、純粋に議員票だけで見てみましょう。安倍さんが所属する細田派と麻生さんの麻生派は2人の盟友関係から基本的には一枚岩で、それだけで全議員の45%を占めます。そこに岸田派を加えれば過半数を取ってしまう。後継候補として岸田さんでまとまるなら話が早いということになるでしょう」
しかし、コトはそう単純に進まない部分がある。かねて指摘されてきた岸田氏の不人気だ。
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