事件現場清掃人は見た 孤独死した「70代男性」はなぜ“テレビ通販”にハマったのか

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受付嬢と電話

 高江洲氏は、邸宅にあったダンボール箱の<24時間対応のフリーコール>という文字を見て、はたと思いついた。

「一人で暮らすようになった男性は、近所にも話し相手がいなかったそうです。おそらく、TV通販の受付の女性との会話で寂しさを紛らわせていたのでしょう。通販の電話は365日、24時間電話ができますからね」

 これだけ大量の商品を買えば、優良顧客になるはずだ。

「通販の方から、新商品が出るたびに売り込みの電話もあったのでしょう。金銭的にもゆとりがあったので、受付の女性と電話で話すために商品の購入も厭わなかったわけです」

 それにしても、通販の商品にいくら注ぎ込んだのだろうか。

「ざっと見ただけでも1000万円以上に達していたと思います」

 清掃を済ませた高江洲氏は、遺品の整理にとりかかった。

「息子さんから、通販で買った商品は全て処分して欲しいと言われました。ダンボール箱を片付けながら、亡くなった男性のことを思うと本当に切なくなりました。使いもしない商品をあんなにたくさん買って……。それだけ寂しかったのでしょうね」

デイリー新潮取材班

2021年7月2日掲載

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