ドン底「中田翔」を再生できるか…日本ハム次期監督にふさわしい人物は誰だ!
熾烈な争いが続いているパ・リーグのペナントレースだが、1チームだけ蚊帳の外となっているのが日本ハムだ。4月2日に単独最下位となると、そこから一度も浮上することなく低迷が続いている。
特に深刻なのが得点力不足だ。昨年まで不動の主砲として活躍してきた中田翔が、極度の不振で5月中旬に登録抹消となると、6月に一度一軍に合流したものの、今度は腰を痛めてすぐに離脱。復帰のめどはまだ立っていない。若手では、3年目の野村佑希に開花の兆しが見られるが、外国人の野手はほとんど機能しておらず、中田の穴は全く埋められていない状況だ。
柔軟性に欠ける印象
中田を主砲として見出した栗山英樹監督も、この成績では今季限りで退任となる可能性が高いが、気になるのが次期監督である。2023年3月には新たな本拠地となる「エスコンフィールド北海道」が開場予定となっているだけに、急ピッチでチームを立て直すことが求められる。果たして誰が候補となるのか。過去の監督の顔ぶれや、球団の方針などから探ってみたい。
まず最有力と見られているのが、東京五輪で侍ジャパンの監督を務める稲葉篤紀だ。2005年にヤクルトからFAで日本ハムに移籍すると、中軸として4度のリーグ優勝に大きく貢献。常に全力疾走を怠らない姿勢とチームの勝利を最優先するプレースタイルでファンからも絶大な人気を誇る。
東京五輪で悲願の金メダルを獲得し、オフには古巣の日本ハム監督に就任という流れは理想的とも言えそうだ。また、不振に苦しむ中田にとっても、稲葉は兄貴分であり、現役時代に共にプレーした間柄でもある。稲葉新監督の誕生は、中田翔の復活に向けてプラス材料になりうる。
だが、もちろん懸念点もある。特に気になるのが東京五輪のメンバー選考の問題だ。現在の状態よりも実績を重視したメンバーとなっており、柔軟性には欠ける印象を受ける。
出場チームは、日本を含めて6か国と少なく、現役メジャーリーガーも参加しないことから、日本の優位は変わらないが、仮に金メダルを獲得したとしても、思わぬ苦戦を強いられるようなことになれば、指導者としての評価が下がることも十分に考えられる。そういう意味では、東京五輪での侍ジャパンの戦いぶりを最も気にかけているのは日本ハムと言えるのかもしれない。
生え抜きの指導者に固執しない体質
東京五輪の結果に関係なく、稲葉監督以外が就任することも当然考えられるが、2000年以降に日本ハムの指揮を執った監督を振り返ってみると、以下のような顔ぶれとなっている。
大島康徳(2000~2002年:優勝0回・Aクラス1回)
ヒルマン(2003~2007年:優勝2回・Aクラス3回)
梨田昌孝(2008~2011年:優勝1回・Aクラス3回)
栗山英樹(2012~2020年:優勝2回・Aクラス5回)
※栗山監督の優勝とAクラスは2020年までの結果
大島は現役時代に日本ハムでプレーしているが、元々は中日の選手であり、純粋な生え抜きではない。そして、ヒルマン以降の3人は日本ハムでのプレー経験がない、いわゆる“外様”だ。栗山監督以前に日本ハムの監督を最も長く務めた大沢啓二も、現役時代は他球団でプレーしており、これを見ても生え抜きの指導者に固執しない球団の体質は伝統的といえそうだ。
また、2004年に本拠地を北海道に移してからは、フロント主導のチーム作りが強くなった印象があり、編成面まで権限を持つ全権監督の誕生は考えづらい。
さらに、栗山監督が就任した際には「根本陸夫になりませんか?」という口説き文句があったと言われている。根本とは、かつて西武とダイエーの両球団で監督を務めた後に編成トップに回り、“球界の寝業師”とも言われた手腕で、チームの黄金期を築いた人物だ。それだけに、栗山監督も退任後は編成としての役割でチーム作りに関わる可能性も考えられる。そういったフロントや前監督との関係を維持しながら、指揮を執るには高い調整能力のある人物が求められることになりそうだ。
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